小説☆☆☆☆☆☆

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東京レイヴンズ10  BEGINS/TEMPLE (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE (富士見ファンタジア文庫)
あざの 耕平 すみ兵
富士見書房 2013-10-19

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 第二部開始。第一部がああいう終わり方だったので各登場人物の立場の変化が面白かった。といってもこの巻ではまだ第一部の主要登場人物のその後は一部がわかるだけで、ほとんど伏せられたままだが。そして第二部からの登場人物にも注目。特になんといっても秋乃。ついに登場の「秋」を冠した名前の人物ということで気にならないわけがない。まだどういう秘密があるのか謎だけど、最後に明かされたアレは驚いた。第一部のほかの主要登場人物の現在どうなっているのかも楽しみだし、第二部が始まって早々だけどはやく続きが読みたい。

(以下ネタバレ)

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夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)
恩田 陸
新潮社 2006-09-07

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 本屋大賞受賞で評判がいいのも納得の内容だった。一昼夜ただ歩いているだけの話なのに、そこには友情があって、恋があって、もうすぐ高校生活が終わるという一つの区切りを前にした切なさや感慨があって、まだ人生はこれからだという今後の将来もあるという、青春ものの要素が詰まっていて実にお見事。素晴らしい。正直なところ、高校生活にはたいした思い出もこれといった思い入れもないけど、そんな自分にもなんだかしみじみとした共感をおぼえさせるのだからすごいわ。読んで良かったと大満足。

百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)
鷹山誠一 ゆきさん
ホビージャパン 2013-07-31

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戦乱の黎明世界「ユグドラシル」に迷い込んだ現代の少年、周防勇斗。弱肉強食、幾多の氏族が覇権を争うこの世界で、勇斗は現代知識を武器にわずか十六歳にして数千もの軍勢を率いる宗主にまで昇り詰めていた! 異世界で王になった少年と、盃の契りを結び彼に絶対の忠誠を誓う麗しき戦乙女たちが織りなす、痛快無双ファンタジー戦記、ここに開幕!!
 すごく面白かった。てっきり異世界に召喚されて俺TUEEEというよく見かけるチートものかと思っていたら(なんだかんだでそういうのも好きだから手に取るわけだけど)、どちらかというとまっとうな戦記ものという印象だった。チート要素はむしろ少な目で、最初はなんで召喚されてから一気に二年たったころから物語を始めるのかと思ったら、主人公に地力と基盤をつくる期間を与えるためだったのね。納得。

 異世界に召喚されて現代日本社会の知識を持ち込んで俺TUEEEな作品を読むと、知識だけあっても実際にはそんな都合よく上手くいくかよと思うことがよくあるけど、この作品の場合、空白の二年の間に試行錯誤があったのだろうなと納得できて上手い(まあリアリティ重視に考えればいくら何でも二年程度の時間で何とかなるものではないだろうけど)。

 作中の舞台の文化レベルもよくできていて世界観がしっかりしているのが好印象。恋愛要素もハーレム的環境にしつつ、主人公が単にヘタレなわけではなく、一途さを貫く理由がしっかり存在しているのが良かった。ヒロインの中ではフェリシアが一番お気に入り。続きがすごく楽しみ。ちゃんと最後まで続いてほしい。

アニソンの神様 score.02 (このライトノベルがすごい! 文庫)アニソンの神様 score.02 (このライトノベルがすごい! 文庫)
大泉 貴 のん
宝島社 2013-07-10

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「“レーゲン・ボーゲン”、セカンドステージ始動です!」
エヴァたちの次の目標は、高校生バンドを対象とした合同ライブ。初めてのライブイベントにメンバーが浮足立つ中、ドラム担当の京子は浮かない顔をしていた。その原因は彼女の中学時代のバンド仲間・神崎椎奈との苦い過去にあった。第1回『このラノ』大賞受賞作家の青春バンドストーリー第2弾。
「UVERworld」や「FLOW」、「B'z」の楽曲も登場! 心にしみるアニソンを届けます!
 今回もすごく良くて、クライマックスの場面ではガチに涙ぐんじゃったけど、たしかにこれは「卑怯だ」と言わざるをえない。そりゃこの内容でアレを持ってこられちゃあねえ。まあそれはともかく、あとがきで作者が語るテーマに沿ってしっかり描かれていて非常に満足。最後のアレが映えるのもそれまでの描写の積み重ねがしっかりしているからだしな。続きがありそうな終わり方になっているし(いちおう売上次第らしいけど)次も楽しみ。あとウェブで掲載しているという短編もいずれ短編集にまとめて出してほしいと期待。

(以下ネタバレ)

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4048916947ストレンジムーン 宝石箱に映る月 (電撃文庫)
渡瀬草一郎 桑島黎音
アスキー・メディアワークス 2013-06-07

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 妹と二人暮らしの高校生、月代玲音。ある日の放課後、彼は友人の文槻クレアに連れられ、地元の紅街中華街を訪れる。場違いな洋菓子店でメイド姿の双子と出会い、妙なケーキを注文する玲音だったが、異変の刻は彼の知らないうちに着々と近づいていた。
 封印を解かれた「マリアンヌの宝石箱」。その内側に封じられていたのは、かつて欧州を席巻した異能者、“皇帝”のブロスペクトとその部下達。街の裏側で暗躍する“キャラバン”の幹部、周皓月の掌に踊らされ、事態は混迷を迎えていく――
 異形の神と異能者達が紡ぐ騒乱劇!
 前シリーズ『パラサイトムーン』は二巻まで既読。といっても読んだのはかなり昔のことだし、そもそも『パラサイトムーン』自体の印象もあまりぴんとこなくて微妙だったのだけど、今なら楽しめるのではないかと思って読んでみたら予想通りとても面白かった。

 昔の異能者の力と記憶と意思を宿して異能力を身につけて、と下手したらありきたりな厨二病バトルものにしかならなそうな設定だけど、能力の多彩さや様々な登場人物たちのキャラの立て方、配置などよくできていてさすが。主人公も苦しい状況でも安易に絶望せず、己のできる限りのことをしようとするあたりが好感が持てて良かった。これは続きに大いに期待。

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) (電撃文庫)ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) (電撃文庫)
物草純平 藤ちょこ
アスキー・メディアワークス 2013-06-07

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 一八世紀に発生し、瞬く間に世界中へと広がった謎の巨大生物〈蟲〉。
 巨大な怪生物たちによる甚大な被害と、それと引き替えにもたらされた化石燃料とによって、世界は大きく変貌した――。
 時は「明治」と呼ばれるはずだった時代の少し前。異国への航路上で蟲を操る男たちに襲われた少年・秋津慧太郎は、ある海岸に流れ着く。その左目に奇妙な力を得て――そして辿りついた荒地で慧太郎は、蟲たちを愛し、その研究と対処とを生業とする美少女アンリ・ファーブルと出会った。
 もうひとつの近代で花開く、蒸気と蟲と恋が彩るファンタジー、ここに開幕!
 イラストとタイトルが自分の好みの琴線に触れて気になっていたものの新シリーズということで躊躇していたのだけど、『スクリューマン&フェアリーロリポップス』の作者の作品ということで読んでみた。

 期待通りとても面白くて大満足。やはりこの作者のヒロインは個性がはっきりしていて魅力的だわ。単純に善悪の対立という図式に収まらず、そこで苦悩する主人公の成長もしっかり描けていて素晴らしい。敵もつまらん小物やただのゲスでなく、好感が持てる人物なのがいいね。ヒロインや主人公、敵のみならず、わき役にも味のある人物がそろっていて今後の活躍が楽しみ。意味ありげな伏線も出てきてたし、ぜひ最後まできっちり続いてほしい。

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)
中山 七里
宝島社 2011-09-06

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第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり……。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実! 美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。
 前作『さよならドビュッシー』は前半はあまり音楽小説らしくなく後半になってようやく音楽小説の色が濃くなる印象だったのに対し、今回は最初から最後まで徹底して音楽小説としての趣が強かった。反面、ミステリとしては前作ほどの驚きはなかった。真相の一部は容易に見破ることができたし。そんなわけでミステリとしての衝撃は弱かったけど、音楽小説としての描写が濃厚で個人的には十分満足できる内容だった。

僕と彼女のゲーム戦争 (5) (電撃文庫)僕と彼女のゲーム戦争 (5) (電撃文庫)
師走トオル 八宝備仁
アスキー・メディアワークス 2013-05-10

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 前巻では一冊まるまる一作のゲームが題材だったのに対し、今回はまたいつも通り三作のゲームが題材。そのうち一つは表紙からもわかる通り『東方』。PC同人作品もありなのか。なら他のPCゲームも取り上げてほしいな。まあ、この作品で扱うのは対戦系が主だろうから、あまり自分の興味には合わない気がするが。ラブコメ的には今まで空気扱いだった天道がいよいよ関わってきそうでびっくり。合宿編・団体戦の部となる次巻でどう話が動くか楽しみ。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3) (電撃文庫)ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3) (電撃文庫)
宇野朴人 さんば挿
アスキー・メディアワークス 2013-04-10

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 ライバルキャラ登場。主人公側もライバル側もどちらも優秀でバランスよく描けていてお見事。ライバルキャラ側に白兵戦が得意そうな女性の副官がいるのもヤトリとの釣り合いのためですな。その副官は今回あまり活躍の機会はなかったけど今後の動きが楽しみ。ヤトリはあいかわらず目立っていて優遇されているなという印象。色恋要素は薄いけどイクタとツーカーの仲で絆の強さという点では現時点ではぶっちぎりだし。あと今回、冒頭が強烈なインパクトだった。

(以下ネタバレ)

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魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫)
遠藤 浅蜊 マルイノ
宝島社 2013-04-10

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『魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画restart』で、過酷な死のゲームを繰り広げた魔法少女たち。そんな彼女たちに魅せられた読者の声に応えて、本シリーズの短編集がついに登場! 少女たちのほんわかした日常や、不思議な縁や、やっぱり殺伐とした事件などなど、エピソード山盛りでお届けします! 本編と合わせて楽しんでいただきたい一冊ですが、この本からシリーズを読み始めるというのもアリ、かも!?
 日常系エピソード短編集。どうってことのない話だったり、笑える内容だったり。そんな何気ない日常の様子が実に微笑ましいだけに本編のことを知っているとなおさら悲しくなるというか。ここで描かれているほのぼのとした日常を送っている魔法少女たちの大半が本編では……となるわけだからなあ。日常系なのに痛ましさがこみあげてくるという恐ろしい短編集だった。

(以下ネタバレ)

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WHITE ALBUM2 雪が紡ぐ旋律 2 (GA文庫)WHITE ALBUM2 雪が紡ぐ旋律 2 (GA文庫)
月島 雅也 なかむらたけし
ソフトバンククリエイティブ 2013-03-16

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 前巻ではあんなに上り調子だったのに、この突き落としてどうしようもないところまで追いつめる展開。まさしく『WHITE ALBUM』の季節。

 しかしいいノベライズだとは思うけど、やはり音楽がないのは寂しいな。特に今回はライブの場面もあるし、クライマックスの場面なども音楽がないのは残念。あと次回予告。原作だとこの『IC』が終わった後に『CC』の予告が入って「おおっ、続きはどうなるんだ!?」と期待が掻き立てられるのに。というわけで小説を読んで興味を持った人には、やはりぜひ原作もやってみてほしいところ。

 丸戸さんの書き下ろし短編は、まあ、どうってことのない内容だった。どちらかというと解説の方がどういう思いで『WHITE ALBUM』と向き合い、どんなふうに『WHITE ALBUM2』を組み立てたのかが伝わってきて興味深かったな。

WHITE ALBUM2 雪が紡ぐ旋律 1 (GA文庫)WHITE ALBUM2 雪が紡ぐ旋律 1 (GA文庫)
月島 雅也 なかむらたけし
ソフトバンククリエイティブ 2013-03-16

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 高校生活最後の学園祭。ライブを敢行するはずだった軽音楽同好会はたったひとりの女子メンバーのため直前になって解散の憂き目に合ってしまった。
 諦めきれない北原春希は、とあることをきっかけに新メンバー候補に声を掛けはじめることに。
 誘うのはミスコンクイーンとして名高い小木曽雪菜と、決して他人を寄せ付けない変わり者・冬馬かずさ。
 絶世と孤高の美少女ふたりを前に、春希は無事軽音を再生させてライブに参加することができるのか……!?
 大人気タイトル「WHITE ALBUM2」を丸戸史明監修のもとノベライズ。
 心揺さぶる切ない恋と雪の物語が今、幕を開ける――。
 原作プレイ済み。どうせノベライズといっても劣化するだけだろうし、ましてこの作品では音楽が重要だからあまり期待できないだろうなと思いつつも、いちおう読んでみたら意外と悪くなかった。微妙にちょこちょこと小さな違いはあるけど、ほぼ原作通りの空気を再現していて、読んでいて懐かしいやら、こうして小説版で読んでもやはりこの作品好きだなあとしみじみ思える良作だった。

 とりあえずこの1巻は『IC』の文化祭本番開始直前まで収録。いいところで次に続いているなあ。ここで終わっておけば輝かしい青春ものなんだろうけど、残念ながらここはまだ序盤の折り返し地点でしかないわけで。ここからが長い冬の始まり。