小説☆☆☆☆

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魔法少女育成計画 16人の日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 16人の日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)
遠藤 浅蜊 マルイノ
宝島社 2016-10-15

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 アニメ放送中ということでシリーズ一作目の16人に限定した短編集。基本的には面白おかしい日常ものなんだけど珠の話はしんみりしたな。イラストレーターさんのあとがきのイラストを見てコメントを読むとなおさら。シスターナナとウィンタープリズンは思った以上にガチなのね。今回収録されている短編の話の後どうなってこうなったのか気になる。

剣と炎のディアスフェルド (電撃文庫)剣と炎のディアスフェルド (電撃文庫)
佐藤 ケイ PALOW
KADOKAWA 2016-10-08

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 大陸の西端、ディアスフェルドと呼ばれる地方に、超大国アルキランが突如侵攻した。攻め込まれたイアンマッド王国は、和議と引き替えに兄王子ルスタットを人質として差し出した。
 残された弟王子レオームは、剣の達人だが腰抜けと評判の軟弱者。兄が戻るまで国を守ると誓うが、疲弊した王国は周辺国に狙われ、更には父王の暗殺、老臣の叛乱と、次々に危機が襲う。果たしてレオームは王国を守り切れるのか。
 一方生まれついての英雄ルスタットは敵地にあっても尚、その剣と勇気と不死身の体で着実に名声を高めていく。
 剣と炎が舞い散るファンタジー戦記、開幕!
「ライトノベルのファンタジー戦記もの」というより「海外児童文学のヒロイックサーガ」という感じ。あるいは『アーサー王物語』のような古い騎士物語みたいとでもいうか。よくある中世西洋風ファンタジーでありながら一味違った作風になっているのがいかにもこの作者らしい。最初はこの作者らしさが見えなくていまいち読書が進まなかったけど、途中からはこの作品の味わいがわかってきて一気に読んで楽しめた。主人公兄弟どちらも気持ちのいい性格なのだけど不穏なフラグが立っていて、最終的にどういう結末にいきつくか気になる。

宮本武蔵(一) (新潮文庫)宮本武蔵(一) (新潮文庫)
吉川 英治
新潮社 2013-01-28

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屍ひしめく関ヶ原で命からがら落ち延びた武蔵(たけぞう)と又八。お甲・朱実母娘の世話になり一年後、武蔵はひとり故郷に戻るが、その身を追われ……。憎しみに任せ、次から次へと敵を打ち殺す野獣武蔵に対峙する、沢庵。殺めるためではなく護るための剣とは? 一介の武弁が二天一流の開祖宮本武蔵(むさし)に至るまで志を磨く道、ここに始まる!
 まあまあ。最初は言葉づかいが古くてなじみづらかったけど、100ページほど読んで慣れたらあとは一気に読めた。大筋は『バガボンド』で知る通りの流れだけど、細かいところではあれこれ違いが。『バガボンド』では武蔵の姉なんて出てこなかったしなあ。ただ、登場人物の魅力も、剣術描写の迫力も、剣術を通した人生哲学も現時点ではまだそれほど引き込まれるものが無く、この序盤部分だけで比較するならやはり少年漫画を読んで育った身としては『バガボンド』の方が心動かされるものがあった。あくまでこの序盤部分だけなら、の話だけど。

獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
講談社 2009-08-12

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カザルム学舎で獣ノ医術を学び始めたエリンは、傷ついた王獣の子リランに出会う。決して人に馴れない、また馴らしてはいけない聖なる獣・王獣と心を通わせあう術を見いだしてしまったエリンは、やがて王国の命運を左右する戦いに巻き込まれていく――。新たなる時代を刻む、日本ファンタジー界の金字塔。
 ぶつ切りみたいな印象の終わり方でびっくりしたけど、文庫版あとがきを読んでこういう意図があったからかと半分は納得。でももう半分は「この物語は遠い他者へ声を届かせようとする思いを描いたもの」というのであれば国の陰謀劇は余計で、あくまでエリンとリランの関係に話をしぼるべきだったのではという気が。同じ文庫版あとがきに国と政治の描写も必要だったと書いてあるけど、個人的にはいまいち必要性がわからなかった。まあ、そっち方面にはあまり関心を持たないで読み進めたからかもしれないが。

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉15 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉15 (MF文庫J)
川口 士 片桐 雛太
KADOKAWA/メディアファクトリー 2016-08-25

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 魔物側が身内同士で争ったかと思えば戦姫側も身内同士で争い始めちゃったでござるの巻。そしてあと二冊で完結予定とはびっくり。てっきり戦姫全員(+他数名)をハーレム化して王になるところまでやるのかと思っていたら、あと二冊ではとてもそこまで進みそうにないなあ。ブリューヌの王になるのはほぼ既定路線、エレンとティッタは攻略済みとして、あと二冊でどこまでいけるのだろう。

黄金の烏 (文春文庫)黄金の烏 (文春文庫)
阿部 智里
文藝春秋 2016-06-10

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人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。その行方を追って旅に出た日嗣の御子たる若宮と、彼に仕える雪哉は、最北の地で村人たちを襲い、喰らい尽くした大猿を発見する。生存者は、小梅と名乗る少女ただ一人――。八咫烏シリーズの第三弾。
 まあまあ。多少は外に出ることもあるものの基本的には宮廷内の陰謀劇に終始した一作目、二作目と違って、山内の「外」について触れられ、金烏とは何ぞやという点も語られて、一気にファンタジーとしての世界観が広がってきたなという感じ。しかし逆にミステリとしては一作目がピークだったかなと。ミスリードが露骨で見え見えだし、犯人も一作目のあの人物と比べると普通すぎてもの足りない。次は前から名前は出てきてたあそこが舞台になるようでどうなるか楽しみなんだけど文庫化はいつだろう。いっそ単行本で読んでしまうべきか。

新装版 しのぶセンセにサヨナラ (講談社文庫)新装版 しのぶセンセにサヨナラ (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社 2011-12-15

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休職中の教師、竹内しのぶ。秘書としてスカウトされた会社で社員の死亡事故が発生。自殺にしては不自然だが、他殺としたら密室殺人。かつての教え子たちと再び探偵ごっこを繰り広げるしのぶは、社員たちの不審な行動に目をつける。この会社には重大な秘密が隠されている! 浪花少年探偵団シリーズ第二弾。
 休職中で生徒との関わりも卒業後も遊びに来る特定の子たちとのみなので前回にもまして教師という設定の意味が薄い……と思っていたら、最後の教職復帰後の「しのぶセンセの復活」はこの作品にしてはずいぶん教師ものらしい内容で逆にびっくり。あとがきではっきりとこのシリーズはこれで終了と宣言されていて、たしかにこういうのんきな作風にとどまっていられなくなるのもわかるけど、自分も最初は深みがなくてもの足りないと感じたものの、読んでいるうちにたいへんな事件が起こってもなんだかんだで元気にやっていくたくましい登場人物たちのことが気に入ったので、これで終わりといわれると少々残念。

デスマーチからはじまる異世界狂想曲 (8) (カドカワBOOKS)デスマーチからはじまる異世界狂想曲 (8) (カドカワBOOKS)
愛七 ひろ shri
KADOKAWA/富士見書房 2016-08-10

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 真ヒロイン・アーゼさん登場。これまで多数のヒロインに囲まれつつも慎重に距離を置いてきたのに、サトゥーの方からアプローチをかけようとするヒロインはこれが初めてという意味で非常に特別。でもそんな特別扱いするほどたいそうなキャラかなという疑問も。いやまあ、たしかに十分魅力的に描けているとは思うけど、今まで他のヒロインたちとのフラグは回避してきたのに態度を一変させるほどかというと疑問に思えるわけで。まあサトゥー基準からいうと他のヒロインは若過ぎだったり保護対象枠だったりするらしいけどね。

新装版 浪花少年探偵団 (講談社文庫)新装版 浪花少年探偵団 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社 2011-12-15

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小学校教師の竹内しのぶ。担当児童の父親が殺された。家庭内暴力に悩んでいた児童と母親に嫌疑がかかるが、鉄壁のアリバイが成立。しかし疑念を覚えたしのぶは調査を開始。子供の作文から事件解決の鍵が、たこ焼きにあることに気づく。教え子たちを引き連れて探偵ごっこを繰り広げる痛快シリーズ、第一弾。
 小学校教師が主人公(?)という設定がほとんどいかされていない気が。基本的に事件解決を追うのは刑事の役割だし。でも考えてみれば要所要所で子どもたちは活躍していたかな。子どもたちが事件解決にほとんど関わっていないのは見合い話ぐらいか。まあ、あまり細かいことを気にしなければイキのいい大阪弁のやりとりが心地よくて、けっこう重い事件を扱っているのにどこかユーモラスで気軽に楽しめるいい作品だった。

血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)
新八角 吟
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2016-03-10

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〔私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの〕
 耀天祭の終わり、赤燕の国の第一王女が失踪した――。
 だが、それは嘘だと俺は知っている。
 太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけ……。
 突如国を追われた王女アルナリス、刀を振るうしか能のない幼馴染みの護衛ユウファ、猫の血を秘めた放浪娘イルナに人語を解する燕のスゥと軍犬のベオル。
 森と獣に彩られた「赤燕の国」を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を目にした時、彼らが胸に宿した祈りとは――。これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。
 第22回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作!
 すでに二巻目が出ているのでどういう結末になるのかある程度予想できていたのだけど、それでもなかなか衝撃的な結末だった。なんとままならない……。また独自の世界観に非常に力の入った作品だった。言血、燕舞、蛇、猫、翼。とってつけたような不自然な部分がなく、一冊まるまる通してこの世界観が貫かれているのがお見事。とりあえずこの一作目はこういう結末を迎えたわけだけど、シリーズとしてはまだ続いているようで、シリーズとして向かう先がどうなるのか気になる。

Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)
古宮九時 森沢晴行
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2016-08-10

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『小説とかドラマって不思議だと思わない? 異世界でも言葉が通じるなんて』
 ごく平凡な女子大生・水瀬雫は、砂漠に立ち尽くしていた。不思議な本を拾った彼女は気づけば“異世界”にいたのだ。
 唯一の幸運は「言葉が通じる」こと。
 魔法文字を研究する魔法士の青年・エリクに元の世界の言語を教える代わり、共に帰還の術を探す旅に出る雫。しかし大陸は二つの奇病――子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混乱を極めていて……。
 自分に自信が持てない女子大生と、孤独な魔法士。出会うはずのない二人の旅の先、そこには異世界を変革する秘された“物語”が待ち受けていた。
 藤村由紀名義でWEB上に掲載以降、絶大な支持をされた大人気WEB小説が大幅加筆修正で、ついに書籍化!
 WEB版未読。まあまあ。少々地味な印象はぬぐえないけどWEB発というわりには一冊の中で大きな事件を取り扱ってちゃんとまとまっていて良かった。最後の終わり方がやや唐突な印象だったけど、WEB版を確認してみるとこのへんはもとからのようで。異世界転移ものというには異世界の文化面がそれほど深く掘り下げられてなくて、異世界に生きる人と主人公の価値観にさほど違いが感じられなかったのは残念。頼りになる美形が助けてくれるあたりはいかにもベタな少女小説的な感じ。無力で一般人な少女(?)が異世界でがんばる話としては『なりゆきまかせの異邦人』を思い出してなつかしかった(他にも同じような作品はあるのだろうけどね)。

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
中山 七里
講談社 2013-11-15

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 まあまあ。面白かったことは面白かったけど、一部納得のいかない点が残る作品だった。御子柴は実はいい人的な話の流れだけど、いくら法外な料金を巻き上げるとはいえ悪党を弁護して軽い刑で社会に戻す手助けをしているのはどうなんだという気が。軽い刑で社会に復帰した悪党はまた悪事を働いて多くの被害者を出すことになるのでは。もちろん中にはちゃんと反省する者だっているのかもしれないけど、少なくとも序盤に出てきた詐欺師はまた繰り返すつもりなのが明らかで、御子柴もそのことを承知しているわけで。そのへんがすっきりしなかった。