小説(2008年以前)

ここでは、「小説(2008年以前)」 に関する記事を紹介しています。

EX! 7 (GA文庫 お 1-8)EX! 7 (GA文庫 お 1-8)
織田兄第 (著), うき (イラスト)
ソフトバンククリエイティブ 2008-12-15

by G-Tools

 か、一哉くん。その、あの……
 恥ずかしいからあまり見ないで…

 みんなで行くのを楽しみにしていた海のバカンス。夏休みを目一杯楽しむための計画は、残念ながらドクターグレイの設立した組織「NYX」への偵察を兼ねた作戦に切り替えられてしまった。
 気兼ねなしに旅行を楽しめないのは残念だが、そうは言っても海は海。魅力的な先輩方や同級生達の水着姿はやっぱり目の保養なのだった。
 しかし、平穏な海水浴場の裏側では、ドクターグレイの思惑が動き始め、一哉達一行もその渦中に呑み込まれていく。

 風雲急をつげるシリーズ第7弾登場!
 5巻あたりから話が出ていた海編。当然水着もあり(笑) ただし今回は出番なしな登場人物も。実力不足と判断されて留守番を命じられ、今回はプロローグのみ登場の八神と和はまだしも、人気のありそうな古森先輩まで出番なしなのは意外。今回の話の裏でどんな動きがあったのだろう。

 今回は裏方に回った大和夫妻以外は、海参加者全員に見せ場があって非常にバランスの良い内容だった。由良はヤンデレ化フラグ? でもこの作品の場合、肉体改造やら改造人間の遺伝子的な影響が大きくて、純粋なヤンデレとはいまいち言い難いのがちょっと残念。敵は今回もわかりやすいゲスな悪役タイプばかりだったけど、そろそろ主人公の人気をくってしまうような悪のカリスマ的な敵が出てきてもいいと思うのだが。

 そしてある意味今回何よりも一番衝撃的だったのはあとがきで触れられた次回予告。あのキャラというのはあのキャラのことなんだろうけど、その恋心に結末を提示って、いいのか、それ。ここであのキャラが恋の争奪戦から脱落したら一気にこの作品の人気が落ちてしまいそう。というか、恋の争奪戦から脱落どころか、ひょっとして二度と出てこなくなるような結末という可能性も考えられるのか……?

イグドラジル―界梯樹― (GA文庫)イグドラジル―界梯樹― (GA文庫)
水月 郁見 (著), 椿 春雨 (イラスト)
ソフトバンククリエイティブ 2008-12-15

by G-Tools

 ――僕は何かが足りない

 弓削稜が抱えるぼんやりとした焦燥。《思春期特有の》と、片づけるには異質な何かが含まれている日々。
 そして彼はJ―POPフェスタのきらびやかなステージで歌う少女藍羽真珠と出会う。
 あまりにも美しい歌声。
 それは稜のちっぽけな焦燥すら、払拭してしまうほどの……。

 だが巨大な《黒い悪魔》がステージを切り裂いたのは、まさにその瞬間だった!

 稜が持つ蒼い螺旋。
 真珠が持つ紅い螺旋。
 異世界から現れた黒い巨大な影!

 そのすべてが一つに交わるとき、航次元守護騎(イグドラジル)が真の力とともに現代に甦る!
 トクマ・ノベルズEdgeから出ている『護樹騎士団物語』シリーズと世界観や設定を共有していて、とりあえず現代日本を舞台にしつつも、他の世界から敵がやってくるような並行世界ファンタジーロボットバトルもの? 今のところいちおう『護樹騎士団物語』シリーズを読んでいなくても問題ないようにはなっているけど、読んでいた方が確実に話になじみやすいかと。というか、個人的には『護樹騎士団物語』シリーズは未読なので、どうにも用語がとっつきにくかった。この一冊だけでは全然終わっていなくて、おもいっきり次回に続く形の幕引き。

 いくらなんでももうちょっと区切りよくまとめてほしかった。かっちりした丁寧な描写の文章はけっこうだけど、テンポが悪くてまどろっこしいなと思いつつ読み進めていたけど、まさかここまで話が進まないまま終わるとは思わなかったな。それに「恋愛で一番困難な局面とは出会って仲良くなるまで」というあとがきの作者の言い分もわかるけど、これほどまでに進行が遅いとついていきづらい。いちおう次も読んでみるつもりではいるけど、次回からはもうちょっとテンポアップを心がけてほしいところ。

アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (2)  (電撃文庫 ふ 7-17)

鮮血と恋慕が紡ぎ出す、赤色の幻想奇譚(ロマンス)──待望の第二幕。

 霧沢景介が枯葉と出会ってから一週間。
 【迷い家】へと招待された景介は、新たに一族の少女を紹介される。人間である景介に不信感を露にする幼い瞳──娘は自らを型羽と名乗った。
 そして、次の日。型羽と打ち解けないままふたりで下った山道の先、待ち受けていたのは襲撃だった。繁栄派に属するふたりの少女は景介と型羽を殺そうとする。彼女たちの目的は、枯葉の持つ、鈴鹿の一族頭首たる証である宝刀【つうれん】と、本家の婿候補である景介の命。
 枯葉が向けてくる思慕、吉乃が残した想い、姉の行方。それらは果たして、争いへ身を投じる理由に足るのか。迫る危険の中で、景介はその覚悟を問われる──。
 今回はロリ追加。ついでにメガネも追加。メガネはヒロイン的な立場にはならないだろうけど。終盤のアレは重要な場面なのにシリアスな雰囲気がぶち壊しで微妙な気分に。いや、確かに面白くてインパクト十分だったけどさ(笑)

 良くも悪くも一巻と変わらない印象。化け物一族である「鈴鹿」は女性しか生まれないという設定のため、必然的に女性キャラが多くなるのはプラスポイント。死体だの、虐待だの、いじめだの、残酷な殺し方だのといったエグい素材を用いているわりには、それほど不気味さ、おぞましさ、恐ろしさといったものを感じさせないのは拍子抜け(もっとも、そういったものを感じさせないからこそ、とっつきやすくなっているともいえるが)。全体的によくある化け物スーパーアイテムバトルものでしかない印象だけど、特にひっかかるほど悪い部分があるわけでもないし、イラストが魅力的なので多分次も読んでみると思う。

さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)

恋と革命と音楽が織りなす物語、感動の完結編!

 真冬と出会った春。
 海への合宿とはじめてのライブを経験した夏。
 さまざまなイベントを経て真冬への想いに気がついた秋。
 ──そして冬。真冬の誕生日とクリスマスの季節。ナオはその機会に自分の想いを言葉にしようとするが、神楽坂の思惑や千晶の想いに翻弄され、なかなか一歩が踏み出せない。
 一方で再度のライブに向けてフェケテリコは練習を開始する。そんな中、真冬の身に異変が起こり──。
 はたしてフェケテリコと四人の恋の行方は?
 音楽に彩られたおかしくてせつない物語、ついに完結。
 音楽青春もの。シリーズ完結編。まさに最終巻にふさわしい盛り上がりだった。

(以下ネタバレ)

[さよならピアノソナタ4]の続きを読む
迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)
林 亮介 (著), 津雪 (イラスト)
ソフトバンククリエイティブ 2008-11-15

by G-Tools

 京都、迷宮街。

 ここでは、人は簡単に死ぬらしい。

 一昨年、突然京都を襲った大地震。それをきっかけに口を開いた大迷宮からは怪物たちがあふれ出し、当初自衛隊に掃討させようとした政府はそれが有効でないと悟るや、一般人の志願者に迷宮の探索を委ねた。

 怪物を倒し、その身体の一部を換金することで莫大な利益を得る現代のゴールドラッシュ。そのリスクは死亡率14%といった数字になって、志願者のもとに返ってくる。

 京都・迷宮街。今日もここで様々なドラマが幕を開ける。命を預けるメンバーは、たとえば恐ろしく綺麗な双子の少女。人は様々な思いを持ち、今日も迷宮に降りる――。

 Webで好評を博した群像劇に大幅な加筆修正を施し、ついに書籍化。
 もととなったWEB版は『和風Wizardry純情派』というそうだけど、そちらは未読。この作品を読むのはこれがはじめて。中巻に続くとのことなので、上中下巻の全三冊構成の様子。

 現代日本を舞台にRPGみたいに洞窟に潜って化物と戦っている人々を描くをということで、冒険者たちの生活や考え方がよりイメージしやすいというか、身近に感じられるのが良かった。TRPGのリプレイとか読んでいると、冒険がないときはやたらとのんびりしているようだけど生活は大丈夫なんだろうかとか、将来のことを考えて貯金とかしないのだろうかと疑問に思ったりしたものだけど、この作品を読んで「なるほど、こういう感覚なのね」とわかった気がする。

 ただビジュアル的にはあまり見栄えがしないのが残念。防具がツナギって。そりゃ現実的に考えればごつい鎧をガチャガチャ着込んで戦うってわけにはいかないだろうけど。マジックアイテムとかもほしかった気がするが、あまりそういった便利過ぎるアイテムがあるとこの作品の特徴であるリアリティが薄れてしまうか。

 銃の使用に関してはそういった世界観なのだと割り切って読んでいたのだけど、現在潜れる中で最も深い場所で強敵が出てきたときにあっさり銃でかたがついた描写があって、さすがにやはり銃を使った方がいいのでは? と思えてしまったな。それに洞窟内の怪物を倒して貴重な資源を手に入れることができるなら、民間に任せていないで国が乗り出してきて独占しそうな気がするのだが。

 多数の登場人物が出てきて視点もころころ変わるけど、あくまで真壁が主人公格という印象で、群像劇というには思ったよりも他の登場人物の掘り下げがもの足りなかった気が。真壁の日記と同じような感じでメールの文章が出てくる天才少女らしい鈴木秀美は準主役級扱いということなのかね? 今後どういう活躍を見せてくれるのか気になるところ。

 恋愛要素に関しては真壁と翠に立っているフラグがどうなるかな。真壁には他にしっかり恋人がいるし、だいたいこの作品は死ぬときは主要登場人物でも容赦なく死ぬようだから、フラグがどうこうなる前にあっさり死んでしまう可能性も十分考えられるわけで。

放課後の魔術師  (2)シャットダウン・クライシス (角川スニーカー文庫)放課後の魔術師 (2)シャットダウン・クライシス (角川スニーカー文庫)
土屋 つかさ
角川グループパブリッシング 2008-11-29

by G-Tools

スニーカー大賞《奨励賞》受賞作第2弾!
女子高生と教師!禁断(?)の同い年カップルが織りなす、新感覚マジカル・スクールデイズ!


同い年の教師・秋津安芸に倫理魔術を教わることになり、一緒にいる時間が増えて喜ぶ播機遙。しかし、乙女心は鈍感男に通じず、関係は相変わらず微妙なままだった。そんな日常を壊すかのように、《鴉》が学園の管理システム“ジェシカ”にハッキングをしかけて乗っ取り、遙を含めた全校生徒を人質にしてしまう。倫理魔術の根幹を揺るがす要求を突きつける《鴉》に対し、彼女の身を案じる安芸は、魔術と知力を尽くして救出に向かう!
 現代日本が舞台の魔術バトルもの。今回の話からすると次もありそうだけど、確定しているわけではなく、続きが出るかどうかはやはり人気次第だそうでどうなることやら。まあ、雑誌の方でも連載がすでに決まっているらしいからたぶん大丈夫だろうとは思うが。でも短期集中連載だしなあ……

 新登場人物が出てきたり、実はあのキャラにはこんな秘密が! というのが明らかになったり、裏での組織としての動きが見えてきたりもしたものの、そのへんは今後の展開のための伏線で、今回の敵はたいしたことなく、事件もわりとあっさり解決してしまうし、人間関係にもたいした動きがなく、どうも内容が薄い感じでもの足りなかった。次のためのつなぎでしかないような印象。前回から意味ありげに出てきている遙の妹がメインの話はいつになるのだろう。今回出てきたあの登場人物は設定からして新ヒロインにはなりそうになくて残念。

儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
米澤 穂信
新潮社 2008-11

by G-Tools

これぞ、究極のどんでん返し! あらゆる予想は、最後の最後で覆される。

ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至難の業でもある。本書は、その更に上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的に拘った連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!

「バベルの会とは、幻想と現実とを混乱してしまう儚い者たちの聖域なのです。現実のあまりの単純さに、あるいは複雑さに耐えきれない者が、バベルの会には集まってきます。わたしたちは、いわば同じ宿痾を抱えた者なのです」

「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」収録。共通するキーワードも出てくるものの、基本的にはそれぞれ単独で成立している短編集。でも「山荘秘聞」ではバベルの会は出てこなかった気が……?

 帯で煽られているほど終盤のどんでん返しが衝撃的だったとは思えず、最初は少々拍子抜けかと感じたが、とても綺麗な文章で語られる旧家の話ゆえのあやしい雰囲気がとても良かった。終盤の衝撃という点でならこの作者の作品の中では『ボトルネック』の方がもっと凄かったと思うが、この作品は全編にわたって染みついて離れないかのような黒さが素敵。これはノンシリーズなのか。ぜひ同じ方向性で続けてほしいと思ったのだけど。

お隣の魔法使い 語らうは四季の詩 (GA文庫 し 1-4)お隣の魔法使い 語らうは四季の詩 (GA文庫 し 1-4)
尾谷 おさむ
ソフトバンククリエイティブ 2008-09-16

by G-Tools

「トゥックトゥイックです。ミズ・メアリー。まだ覚えてはいただけませんか」

 そんなこと言ったって、あたしが誰をどう呼ぼうと、あたしの勝手じゃない。けっして舌を噛みそうになるからというわけじゃないのよ。

 それよりツクツクさん、また変なことを始めてるんじゃない?

「いえいえ、たんなる化石の発掘ですよ」

 化石の発掘って……お家で?

 ゴロゴロゴロ……ドシャーン!

 って今、雷が落ちなかった!? あれ、なんだか家全体が点滅しているような気が……。あらら、向こうでメイドさんが踊り狂ってるわ!? あの娘、あんな子だったかしら?

 いつもよりちょっとにぎやかで楽しいお隣ワールド、フォースシーズンへようこそ!
 ちょっと不思議なほのぼの小エピソード集もの。前回で一区切りついたはずだけど、こうして続いたということは思った以上に人気があるのね。

 収録されているエピソードの中にはいまいちなのもあるけど、とりあえず今回はジャム作りの話、虹の話、水琴窟の話、ドールハウスの話、年末のベルの話がお気に入り。ジャムの話は想像するととてもきれいで美味しそう。作る過程も面白そうだし。虹の話や年末のベルの話はこんなのもあるのかとびっくり。水琴窟も初めて知った。ドールハウスの豆本は実際に読んでみたい。この作品ってツクツクさんがかなりの趣味人なので、いろいろなことが知れるちょっとした雑学ものとしてもいいなあ。

ソラにウサギがのぼるころ〈4〉mad tea party side:hell (MF文庫J)ソラにウサギがのぼるころ〈4〉mad tea party side:hell (MF文庫J)
平坂 読
メディアファクトリー 2006-12

by G-Tools

ユウ×聖司×陽子のトライアングルラブコメ第4弾!

「とある事情」により親元を離れた子供たちが暮らす学園都市、夜光市。聖司や陽子が通う夕月学園では武闘大会と学園祭と夏祭りがごっちゃになったようなイベント「赤月祭」で多いに盛り上がっていた。祭りのスタッフを務める聖司はもちろん、成り行きから演劇部に参加することになったユウ、武術トーナメントに出る久遠くおんや御厨も、それぞれがイベントを満喫。謎めいた美少女・菖蒲も乱入して、赤月祭はおおいにもりあがっていた。ユウと陽子、陽子と聖司、藤堂とくおん、御厨と芙深の仲も進展(?)し、聖司の気持ちも少しずつ変わっていく。一方、祭りに乗じて潜入した者たちが動き始めて……!? 「赤月祭」編、後編登場!

 なんという打ち切りエンド……


 ラブコメとしても、異能バトルものとしても、前世の因縁ものとしても、学園青春ものとしてもどんどん良くなって盛り上がってきて、さあこれからというここで終わりとは実にもったいない。正直一巻は微妙かと思ったけど、この四巻はすごく良かったのになあ。一巻は聖司がグダグダとひねくれ思考をたれ流すの鬱陶しかったけど、巻が進むにしたがって聖司の出番が減って空気化したおかげで気にせず素直に楽しめるようになった(笑)

 これで終わりとは本当に残念だが、この作品の経験があったからこそ『ねくろま。』につながったのだと思えば決して無駄ではなかったか。『ねくろま。』からさかのぼって手を出してみたシリーズだけど、読んでみて良かったと素直に言える作品。

ソラにウサギがのぼるころ〈3〉mad tea party“side:heaven” (MF文庫J)ソラにウサギがのぼるころ〈3〉mad tea party“side:heaven” (MF文庫J)
平坂 読
メディアファクトリー 2006-11

by G-Tools

ユウ×聖司×陽子のトライアングルラブコメ第3弾!

「とある事情」により親元を離れた子供たちが暮らす学園都市、夜光市。聖司や陽子が通う夕月学園では武闘大会と学園祭と夏祭りがごっちゃになったようなイベント「赤月祭」を前にして盛り上がっていた。聖司もまた、陽子に推薦されたのをきっかけに、自分から積極的に赤月祭スタッフとして奔走する。灰色だった日々を、少しでも輝かしいものにするために……。「運命の恋人」を捜しにやってきて居ついた吸血鬼少女・ユウも、相変わらず陽子にべったりながらも、祭の準備を通じてだんだんと学園に馴染みはじめる。だが、そんな慌ただしくも平和な日常の裏で、またしても不穏な空気が立ちこめて――。ストレンジラブコメ群像劇、新たな局面へ!
 赤月祭編上巻。祭りの前の準備期間から本番一日目が終わったところまで。今回はこの巻だけで終わらず次に続く。

 なんだか普通にラブコメ+異能バトル+学園青春ものみたいな内容になっていてびっくり(笑) いや、そりゃ『ホーンテッド!』に比べたらこっちは今までも比較的まっとうな展開だったけどさ。ただ、ラブコメ的には関係がほとんど納まるべきところに納まってすでに安定してしまった印象で、どういう落とし所を考えているのか気になるところ。やはりラブコメはもうこのままで異能バトル路線を重視してまとめるのかね?

此よりは荒野 (ガガガ文庫)此よりは荒野 (ガガガ文庫)
水無神 知宏
小学館 2008-11-18


ダークファンタジー×西部劇

19世紀末、アメリカ西部。近隣の村とともに家を襲われ、母と妹を亡くしたアラン・グリーンウッド。彼を助けた少女は言った。襲撃者は「不死者秘儀団」だと。炎に包まれる家を前に、アランは復讐を誓う。――それから3年。保安官の叔父のもと、キングスウェイ市で保安官補となっていたアランは、かつての少女――「屍人殺しのステラ」の二つ名で呼ばれる凄腕の拳銃使いと再会する。その間に埋められぬ力の差を感じ、自嘲するアラン。そんな折、街が人狼に襲撃され……。いま、ふたりの復讐劇が幕を開ける!!
 作者の水無神知宏さんはずいぶん前に富士見ファンタジア文庫で『装甲戦闘猟兵の哀歌』という作品を出していたとか。個人的にはいちおうタイトルに聞きおぼえぐらいならあるけど残念ながら未読。そちらではなく『Crescendo~永遠だと思っていたあの頃~』の方で知っていたので手を出してみた。

 アンデッドやら人狼やらサキュバスやらがわりと身近な存在として出てくる世界で西部劇をやるという基本路線はなかなか魅力的なのだけど、ただ情報が頭の中を通り過ぎていくだけで、まるで心の琴線に触れるものがなくて微妙だった。客観的に見れば文章もストーリーも悪くないのはわかるので、相性が悪かったとしかいいようがないか。

 ひとつはっきりと気になった点としては、前半で未熟者として描かれていた主人公が後半になったら急激に成長し過ぎではないかと。いちおう父は優秀な人物だったとか、幼いころはその父から教えを受けていたとか、素質は悪くないという伏線が張られているのはわかるのだけど、主人公の成長が単なる話の都合みたいに感じられてしまって素直に話の流れに乗れなかった。

カンピオーネ! 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-2)カンピオーネ! 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-2)
丈月 城
集英社 2008-11-21


神殺しVS神殺し
二人の王者は並び立たず。守るため、奪うため…神の権能が激突する!


神を殺し、権能を奪いカンピオーネとなった高校生・草薙護堂。その自称愛人エリカが護堂の高校に留学、護堂との「親密な仲」を公言したことで、媛巫女・祐理や妹・静花も巻き込んで、護堂の平穏な日常は完全に失われてしまった。同じ頃、東欧の魔王・ヴォバンが来日。その目的は祐理!? 神殺しが相撃つ熾烈な戦いの幕が、いま開く!!
 率直に言ってしまえばよくある異能力バトル+ラブコメものだけど、その異能力が神を殺して奪ったものというスケールの大きさと、物語に上手く神話やその由来が組み込まれているのが特徴。あとがきによると三巻も刊行予定があり、次は「楽しい(?)夏休み」とそもそもの始まりを描いた「カンピオーネ・ビギンズ」がテーマになりそうとのこと。

 前回は祐理がいまいち影が薄い印象だったけど、今回の祐理当番回のおかげでいかにもヒロインらしくなってきたかと。一巻の表紙はエリカが目立っていて祐理は脇役、で、今回は祐理が表紙で目立っていたわけだが、とすると同じく今回の表紙に登場しているリリアナがどうなるのか気になるところ。今回だけで使い捨てにするにはもったいないし、やはりリリアナも仲間になる展開を期待。

 次は夏休み編と始り編みたいだからリリアナ当番回があるとしたら次の次の四巻かね。でも「ビギンズ」は「エリカとの出会い」「VSウルスラグナ戦」「VSサルバトーレ戦」と描くべきことがいっぱいでとても一巻で収まらない気が。上下巻か、あるいは上中下巻構成になりそうな予感。