個人的な注目作品を紹介したり、たまに感想を書いたり
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫 よ 4-1)旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫 よ 4-1)
萬屋 直人
メディアワークス 2008-03-10

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 名前を失い、色彩を失い、最後には存在自体を喪失してしまう「喪失症」と呼ばれる謎の現象によって穏やかに滅びつつある世界で、スーパーカブに乗って「世界の果て」を目指して旅をする「少年」と「少女」を描いた、終末世界ロードムービー風作品。似たような作風というと思いつくのは『塩の街』の前半部分とか、MF文庫Jの『世界が終わる場所へ君をつれていく』かな。

 正直読む前はそれほど期待していなかったというか、もっといまいちな作品かと思っていたのだけど、いざ読んでみるとすごく良かった。こういう世界観だともっとすさんだ人物や事件もありそうなものだけど、少なくともこの作品の中ではそういったことはなく、旅先で出会う人はみんないい人ばかりで安心して読むことができたし、食事や寝床や風呂や病気のときなどに関する旅暮らしならではのあれこれの描写も良かった。「喪失症」という設定も上手く話に生かせていたと思う。それに何気に熱々な「少女」と「少年」の関係が読んでいて思わずにやけてしまいそう。こういう話なら十分続きも出せそうで楽しみ。今のままの作風で今後も続いてほしい。
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