個人的な注目作品を紹介したり、たまに感想を書いたり

ラノベ部 3 (MF文庫 J ひ 2-18) (MF文庫J)GUNSLINGER GIRL 11 (電撃コミックス)ハヤテのごとく! 18 (少年サンデーコミックス)カンピオーネ! 4 (4) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-4)鉄球姫エミリー (集英社スーパーダッシュ文庫)その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)山獄の獅子王―タザリア王国物語〈5〉 (電撃文庫)恋愛ラボ 3 (まんがタイムコミックス)紫色のクオリア (電撃文庫 う 1-24)みそララ 1 (まんがタイムコミックス)アスラクライン〈9〉KLEIN Re‐MIX (電撃文庫)オレンジチョコレート 1 (花とゆめCOMICS)スクランブル・ウィザード4 (HJ文庫)

ラノベ部 3 (MF文庫 J ひ 2-18) (MF文庫J)

留学生のリアも加わりますます賑やかになりつつも、やっぱり基本的にはまったりとした読書生活を送る軽小説部――通称ラノベ部の部員たち。本屋で偶然出会ったり、部室で何でもない話をしたり、勉強をしたり、家に遊びにいったり――。文香もまた、のんびりと、でも確実に暦やリア、美咲たちとの絆を深めていく。そんなある日、部室で龍之介と二人になった文香は、自分が抱く初めての気持ちを抑えきれなくなり――? リレー小説ももちろん収録、大好評の日常系スクールライフノベル待望の第三弾。微妙に波乱の予感をさせつつも、やっぱりまったり登場です。
 表紙を見た時からひょっとしてそうなんじゃないかと思っていたけど、やはりこれが最終巻か。作中のあるエピソードのようにこれで終わりかと思うともったいない気持ちがあり、小エピソードの集まりなので少しずつ読み進めるのに適していたこともあってちょっとずつ読んでいたわけだけど、たしかにこうして綺麗に終われたことは喜ぶべきことだよなあ。打ち切りとかではなく、もともと3巻ぐらいだと思っていたそうだし、描くべきことは描いたそうだし。でも夏合宿でどんなことがあったのかは読んでみたかった気も。それとリレー小説も、今回もしっかりあったわけだけど、どうせならもう一本ぐらい読んでみたかった。

 最後まで笑いあり、恋愛要素あり、シリアスあり、時事ネタあり、ラノベに関するあるあるネタありで面白かった。大満足。『ねくろま。』でこの作者の作品にハマったわけだけど、こういう引出が出てくるとは予想外だったな。今後もいろいろな引き出しを見せてくれそうで大いに期待。とりあえず次の新作が楽しみ。

 次回作は『僕は友達が少ない』というタイトルからして、何だか暗くてさびしそうな内容なのかと思っていたのだけど、あとがきの宣伝によると『ラノベ部』と同じ気軽に読める日常系ラブコメだそうでちょっと意外。……でも、この作者のことだからまた普通とは全然違った中身のような気も(笑) この『ラノベ部』もまた1巻から読み直してみよう。

(以下ネタバレありの細々とした雑感)

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聖剣の刀鍛冶 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

かつて、大陸で“悪魔契約”を駆使した忌まわしい戦争があった。そして今――。騎士団に所属する元貴族の娘セシリー・キャンベルの前に、ルークと名乗る謎めいた鍛冶屋の男が現れる。――この衝撃の出会いがすべての始まりだった!! アニメ化が決定したMF文庫Jの人気作を、月刊少年ジャンプで「ファイアーエムブレム」などを手がけた実力派・山田孝太郎が鮮烈コミック化!!!
「prologue」「第1話:騎士 Knight 前編」「第2話:騎士 Knight 中編」「第3話:騎士 Knight 後編」「予告編」収録。原作未読。アニメ化されるのだったらアニメで見るまで待っていればいいやと思っていたのだけど、面白そうだったので読んでみた。

 まあまあ悪くはなかったけど、剣で悪党や化物とバトルしたりヒーローが特殊技能を持っていたりと、今のところよくある普通のファンタジー作品といった印象で、あまりこの作品ならではという個性が見えてこなかったな。どうもセシリーの熱い性格が特徴の一つらしいけど、ビビってそこから踏ん張って立ち向かってというこの巻の内容ぐらいではそれほどたいしたものとも思えなかったし。絵は好み。思ったよりもギャグ描写が多かった。続きはおとなしくアニメ化まで待つか、とりあえず原作の一巻ぐらいは読んでみるか、どうしようかな。

修道女エミリー―鉄球姫エミリー第二幕 (集英社スーパーダッシュ文庫)

この鉄球姫エミリーが相手だ!
第6回SD小説新人賞大賞シリーズ第2弾!


それは孤高の赤き花。若き護衛騎士グレンの師は、かつて、王女エミリーをそう評した。襲撃事件により家臣を失い、修道院に入ったエミリーの下に護衛として赴くことになったグレンは、憧れの王女に会えることに胸を躍らせていた。しかしエミリーは、その想像をことごとく凌駕する! 不意討ち、暴言、セクハラ、鉄球! 描いていたエミリー像が虚しく崩れ去る中、修道院を舞台に再び陰謀の矢が放たれた。迎え撃とうとするグレンだったが…!? 第6回スーパーダッシュ新人賞大賞受賞の重装甲ファンタジー、第二幕開幕!
 前作からの正当な続編なのだけど、この巻はエミリーが話の中心というより、新登場のグレンの方を中心に描いた巻という印象だった。あとがきによると意図的にそういった前作と少し違った作風を目指したそうで。新登場のグレンはまだまだ未熟なところが多いので、今後どう成長していくのかに期待。エミリーとグレンのあいだに恋愛感情は芽生えたりするのだろうか? 最後の方のエミリーはなかなかのツンデレ具合だったが(笑)

 前作に比べて死者数は激減(というか、前作がやたらと死に過ぎだったわけだが)。でも登場人物を片っ端から殺しまくるのだけが特徴の作品にはなってほしくなかったので、今回の傾向はむしろ歓迎。今回もほどよくシリアスで、ほどよく笑える要素もあって面白かった。この作品のシリアスとギャグ要素のバランス比は自分の好みに合っていて、そのへんが気に入っているのかなーと分析してみたり。

やむなく覚醒!! 邪神大沼 (ガガガ文庫)やむなく覚醒!! 邪神大沼 (ガガガ文庫)
川岸 殴魚 (著), Ixy (イラスト)
小学館 2009-06-18

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【はじめに】自分は邪神ではないと思っていたのに『初心者らくらく邪神マニュアル+スターターキット』を入手し、その筋の道を歩き始めてしまった。ついでに、誘惑に駆られてスターターキットを使用したら、使い魔と名乗る女の子が現れて嬉し恥ずかし。しかし次の瞬間、首の骨が折れて意識が消えかけている――。本書は、そんな初心者のラノベ主人公・大沼貴幸くんの日常について書かれた物語です。本書を読んで、皆さんも邪神となってしまった高校生の日常を楽しみましょう。第3回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作!
 はじめはおバカな内容の邪神マニュアルが面白く思えたが、ずっと同じような調子で続くので途中でだれた。後半にいくにしたがってギャグのキレ味が落ち、どうでもいいことを無理矢理たれ流しているような印象だった。イラストもいまいち。女の子キャラが多い作品なのに恋愛要素がほとんど無かったのは意外。状況別あとがきはけっこう良いアイデアの気が。

4048679775GUNSLINGER GIRL 11 (電撃コミックス)
相田 裕 (著)
アスキー・メディアワークス 2009-07-27

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ヴェネツィアで発生した五共和国派による鐘桜占拠事件。公社は義体を投入し突入作戦を決行するが……。待望の最新刊、ついに登場。
「第59話 記憶の檻」~「第66話 青色の王子」収録。12巻は来年春ごろ発売予定とのこと。今回は鐘桜占拠事件に関する今までになく大規模な戦いが描かれていて、すごくアクションが見ごたえがあった。同時に人間関係の動きも読みごたえがあって満足。

 そのあとはジャンとジョゼの過去編に突入。この過去編は次巻にも続いているようだけど、どれぐらい続くのだろう。このふたりの過去の事情がこの作品において重要なのはよくわかるけど、過去の話はあまり長々とはしないで、やはり義体の少女たちを話の中心にしてほしいなあ。

(以下ネタバレ)

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アスカはいぶりっど 1 (YA!コミックス)アスカはいぶりっど 1 (YA!コミックス)
グリーンアロー出版社 2009-07-16

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見た目は中性的だけど、れっきとした男のアスカは、手違いから女子寮に入寮するハメに。しきりに女装をすすめる寮生・弥生(女装男子)に振り回されつつ、女になった自分の体にヘンな意味で興味津々であったりして…。
「第1話 男の子女の子」~「第9話 新しい朝」+「おまけマンガ アスカ お風呂に入る」収録。ケータイまんが王国で配信中の作品とのこと。こちらで試し読み可能。

 TSものということで読んでみた。こうしてガチにTSネタを真正面から扱ってくれる作品が増えたことは実に喜ばしいことなのだけど、残念ながら絵が好みに合わなくて微妙だった。ただ、ヒロイン(?)の弥生はなかなか魅力的で好印象。この子がメインヒロインポジションなのかね?

当て屋の椿 1 (ジェッツコミックス)当て屋の椿 1 (ジェッツコミックス)
川下 寛次
白泉社 2008-12-24

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華やかな江戸の街で次々と起こる、謎の殺人事件。その裏に潜む真実を「当て屋」の椿が捜し当てる…!!

奇想天外な大江戸吉原ミステリー、始まる。
「第一話 椿、登場」~「第八話 長屋の大浚い」収録。お江戸で事件解決もの。要するにミステリみたいな作風なのだけど、真相を推理する過程がそれほどたいしたことなく、また事件の真相自体も無理があるのではと思えるようなもので、ストレートにミステリとは呼びづらい作風。青年誌掲載作品ということで毎回サービスシーンがあり、何よりも和服なのにはっきりと身体の線がわかるようなぱっつんぱっつんの女体描写が特徴的(笑)

 掲載誌の他の漫画を読んでいる時たまに目に入ったエロっちい絵が気になっていたので手を出してみたけど、絵はともかくストーリーがいまいちであまり楽しめなかった。鳳仙先生は探偵役の椿に事件を知らせて騒ぎ立てる進行役の役回りとはいえ、もう少しいいところを見せてほしいなあ。

ハヤテのごとく! 18 (少年サンデーコミックス)

 17巻は「法律でダメって言われても、観たい気持ちは消えない」~「THE END OF THE WORLD(7) 左手に愛を誓い」のナギがホラーDVD観ちゃったよエピソードからアテネとの過去編の途中まで、18巻は「THE END OF THE WORLD(8) 憎悪の王の誕生」~「わからないから わかりたい。わかってないけど わかってしまう。そういうクイズな人生ゲーム」のアテネとの過去編の途中からいつもの時間軸に戻ってGWの旅行の準備としてハムがクイズをがんばるところまで収録。

 アテネとの出会い編をもう一度読んでみたくなったので手を出してみた。当時はそれほどしっかり読んでいなかったからいきなりこのエピソードが始まったときは驚いたなあ。ハヤテがやたらと超人的な身体能力や技能を持っているのはこういう理由があったのかとそれなりに納得したっけ。まあ、ギャグ漫画だからだよと言ってしまえばミもフタもないのだけど(笑)、それでも実はこういう設定があるからだよとわかると裏設定スキーとしては興味をひかれますな。

 こうして改めて読んでみるとアーたんはけっこう即デレだったのね。やたらとイチャイチャしまくりでずいぶんませた子供たちだこと(笑) 今後の展開に関わってきそうな伏線があれこればらまかれているけど、このへんが回収されるのはやはりシリーズ終盤になってからなのかな?

 お目当てのアテネとの過去編以外の話ももちろん面白かった。17巻の第2話や18巻の第8話など千桜さんのエピソードがお気に入り。次点で18巻のマリアさんとの偽装デート。

ハヤテのごとく! 17 (少年サンデーコミックス)ハヤテのごとく! 17 (少年サンデーコミックス)
畑 健二郎
小学館 2008-10-17

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焔のシグナティス (MF文庫 J す 4-1)焔のシグナティス (MF文庫 J す 4-1)
スズキ ヒサシ
メディアファクトリー 2009-07

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風の神を祭る神社の跡取り息子、早風。彼は、バイト帰りに見たこともない化け物と戦う黒髪の少女、こよりと出逢う。彼女は、死者の魂を運ぶ組織、その名も「火車執行隊」に属する妖怪だった! 早風はひょんなことからこよりのパートナーとして、魂の回収を手伝うことになる。さらに、この任務が終わるまで、こよりを早風の家に住まわせることになってしまった。そんなある日、学校で奇妙な事件が起こっていることを聞くが……。あやかしの少女と風の力を持つ少年のバトルストーリー。「冥閣府の規定により、おまえを始末する!!」
『タザリア王国物語』でライトノベル史上に残るようなサドデレヒロインを爆誕させた作者の作品とは思えない、美少女と出会って妖怪退治に巻き込まれるというびっくりするほどフツーの妖怪退治バトルものだった。今のところサドヒロインも出てこないし、鬱設定もブラック展開もまったく無し。

 そういった鬱設定やブラックな展開への期待は抜きにして、単純に妖怪バトルものとして見てもいまいちだった。学園でのクラスメイトたちや妹との日常会話が全然面白くない。ラブコメっぽいやりとりもベタ過ぎてニヤニヤできず白けるだけだった。

 あと主人公が他力本願過ぎて好感が持てない。主人公の特殊能力の風を操る力が、どうやら神様か何かそういった高位の存在の力を貸してもらっているものらしいというのはいいとしても、家事や家計のやりくりは中学一年の妹に押し付けてその采配に主人公自身は不平不満漏らしまくり、妖怪に関する厄介事はすぐにこよりに何とかしてほしそうにするわ、ピンチになったら「おれを守るんじゃなかったのか」と窮奇(使い魔みたいなもの)に文句をつけるわ。自分の手に余ることを他者に頼るのが悪いとは言わないが、頼んだからには自分もできる範囲で尽力しようとしたり、力を貸してくれた相手に感謝する姿勢ぐらい見せてほしかったところ。

『タザリア王国物語』の作者のこのひとなら現代妖怪バトルものでもひと味違ったものが読めるだろうと楽しみにしていたのだけど期待外れだったな。残念。

カンピオーネ! 4 (4) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-4)カンピオーネ! 4 (4) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-4)
丈月 城
集英社 2009-07


「我が主よ――お願いがあります。……キス、してください」
絶好調ミスティックファンタジー!
神と神殺しが出会うとき、新たな戦いの幕が開く!!


草薙護堂は限界を迎えていた。自らを取り巻く少女たちとの生活に心労を重ねる護堂は、ついに逃亡を決意する。だが、そこに現れたのはかつて激闘を繰り広げた女神・アテナ。アテナに同道を求められた護堂は船上の人に。今ここに神と神殺しの呉越同舟がなる!?
一方、エリカと並び称される魔女・リリアナは剣の王・サルバトーレとともに竜の誕生に遭遇する。そしてそれは新たな神の顕現をも意味していた!!
 表紙からもわかる通り今回は待望のリリアナ当番編。アテナや剣のカンピオーネことサルバトーレ・ドニも登場! ……なのだけど、神と戦うことになってヒロインとキスしてと、あまりにいつも通り過ぎる展開がちょっともの足りなかった。

 あと、今回エリカの出番が少なかった(祐理もだけど)のも残念。まあ、いつもと違った展開やエリカの出番という点では前回の三巻がエリカとの出会い編だったので、これぐらいでちょうどいいバランスなのかもしれないけど。

 予想通りリリアナもハーレムに加入することになったわけだが、三人もいるとなると今後神と戦うときの教授役はだれになるのだろう? その役割を決めるだけでひと波乱になってしまいそうな気が(笑)

 まあそのへんも含めて、シリーズ中盤戦が始まるという次巻以降の展開に期待。あと三巻のあとがきで語られていたロサンゼルス市在住の米国人女性の外伝もわりと真面目に期待していたりする。

剣の女王と烙印の仔 2 (MF文庫 J す 3-2)剣の女王と烙印の仔 2 (MF文庫 J す 3-2)
杉井 光
メディアファクトリー 2009-07

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クリスが大公を倒し女王の婚儀を止めた激戦から、半月。ミネルヴァの妹にして聖王国の託宣女王であるシルヴィアの元に、麗しき少年ジュリオが守護騎士としてやってくる。だれひとり信頼できる者もなく王宮で孤立していたシルヴィアの心を、ジュリオのまっすぐな言葉が少しずつ溶かしていく。一方、ザカリアの公女フランチェスカは、大教会の奪回のため、自らが率いる銀卵騎士団わずか千人のみでの出陣を決断する。しかし戦いのさなか、新月を待たずに再びクリスの烙印が牙を剥き――。荒れ狂う運命に立ち向かう、少年と少女の王道ファンタジー、第二弾。
 一巻はいまいちだったが、お気に入りの作者の作品なのでとりあえずこの二巻も読んでみたのだけど、やはりいまいち。

 登場人物に魅力が感じられない。主人公のクリスはヘタレだし、メインヒロインのミネルヴァはテンプレ的ツンデレとしか言いようがないし、敵側も欲得まみれ打算まみれの小物連中ばかりといった印象だし。ミネルヴァのテンプレそのままなツンデレ性格やクリスとのラブコメ的なやりとりは、血生臭い戦いの中に身を置いているというこのふたりの状況や作風に合っていない気が。バトル描写もクリスたちの強さが無双過ぎてまるで盛り上がらないのが残念。

 この二巻の中で気に入ったのは新たな美少年キャラ(笑)ジュリオぐらいか。周囲の人間が信じられないシルヴィアのガードをジュリオが少しずつ崩していくあたりはなかなか楽しめた。この新登場のジュリオはずいぶん目立っているなと思ったら、裏主人公的な位置づけだそうで。でも今のままだと到底クリスにはかなわないよなあ。パワーアップして、魅力のない敵のトップ陣を片づけて、こいつが敵側のボスになるような展開になってくれればもうちょっと面白くなりそうなのだけど。

みそララ 2 (まんがタイムコミックス)

がんばるアノコはカッコわるいけど、わるくない!! WEBコミック人気No.1! 大人気作家、宮原るりがお届けする新米ライターへっぽこ成長記録!! 麦田・米原・粟屋の穀物トリオが今回はデザインコンペに初挑戦! 悪戦苦闘の結末は!?
 新しい仕事を経験してライターとしても成長し、周りの人々も掘り下げてと順調に進行中。

 周りの人がいい人ばかりだったり、大きく落ち込むようなヘビーな展開になったりせず、失敗したり落ち込むようなことがあっても最後にはホッとするような結末が用意されているあたりが少々甘いかなという気もするが、そのおかげであまり堅苦しくかまえずに読めるのがいいですな。

 というわけでお仕事ネタ4コマ作品だけど、漫画の中でまで仕事に関するような鬱で重い場面なんて見たくないという人も安心して楽しめる作品かと。

 後半の取材のエピソードなどは、ライターだのモデルなどといっても、響きの良さほど華やかなばかりの仕事でなくて、やはりあれこれと大変なことがあるのだということがよくわかって面白かった(笑)

鉄球姫エミリー (集英社スーパーダッシュ文庫)鉄球姫エミリー (集英社スーパーダッシュ文庫)
八薙 玉造
集英社 2007-09-25


第6回SD小説新人賞大賞受賞! 堀井雄二氏激賞!!

王女ながらも、輝鉄と呼ばれる鉱石により爆発的に身体能力を向上させる鎧、大甲冑を纏い、鉄球を振り回す少女エミリー。弟王との玉座を巡る争いを避け、辺境に身を置くエミリーになおも陰謀の手は迫る! 黒い大甲冑に身を包んだ暗殺者、亡霊騎士の襲撃が屋敷を襲う。エミリーを護るために命さえも懸ける護衛騎士、装甲侍女たち。美しき王女を巡る死闘の行方は…!? 第6回SD小説新人賞大賞受賞作!!
 発売当時いちおう注目していたものの400ページオーバーの厚さに敬遠したのだけど、何故か今になって読んでみた。

 発売時の感想を見ていると意外にエグイ作風という感想が多いようだったので覚悟していたのだけど、いざ読んでみると思ったほどきつくなかった。たしかに人は死にまくるし、拷問の場面などもあったりするのだけど、生死のかかった戦いの場ならこんなもんだよなーというぐらいだし。

 それに敵側も決してすき好んで人を殺しているわけではなく、人を殺すことに嫌悪感を抱く程度には(それでも必要とあれば殺すわけだが)善良なのが読者側にはわかるので、もっとエグイ、心底気分が悪くなるようないやらしい悪意を振りまく作品に比べればこれぐらいならまだまだ許容範囲内。

 まあ予備知識なくエロゲー臭いイラストに釣られて手を出してみてこれだったらたしかにびっくりしただろうなあ。

 主人公の姫が下品な台詞を吐きまくるのは、ちょっとしたキャラ立てになっているし、人が死にまくる作品の中でちょっと肩の力を抜いて笑える要素になっているけど、反面、シリアスな雰囲気を壊しかねないので一長一短といったところか。

 というわけで思ったほど鬱グロでなかったのは拍子抜けだったけど、全体的には面白かった。すでにシリーズ完結しているようだけど、続きも追いかけてシリーズの最後まで読んでみるつもり。

アスラクライン (電撃文庫)アスラクライン (電撃文庫)
三雲 岳斗 (著), 和狸 ナオ (イラスト)
メディアワークス 2005-07

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謎の兵器を巡り、高校生たちの争奪バトルが始まる!

 夏目智春はごく平凡な十五歳。ただし幽霊憑き。水無神操緒は智春の幼なじみ。美少女。スタイル良好。ただし、幽霊。
 高校入学式の前日、二人の前に現れたのは黒ずくめの服を着た綺麗なお姉さん。彼女が智春に手渡したトランクには謎の兵器、機巧魔神が封印されていた……。
 そんな謎のトランクを狙って智春の前に現れるのは、自称・悪魔の巫女もどき少女と、第二の幽霊を連れた幽霊憑きの生徒会長。世界を救うために悪魔を滅ぼせって、そんなことを命令されても困るんですけど――?
 世界の破滅まで残り七百十九日。
 二巡目の世界で暴走するハイスクール・パンク開幕。
 アニメ化をきっかけにハマったが、一巻はずいぶん前に一度読んだっきりだったので再読してみた。全体的な雰囲気はこの頃からほとんど変わっていない印象。ただ、佐伯兄の悪魔や一巡目の世界に対する解釈は、こいつってこんな風に考えていたっけ? と思えて少々おかしい気が。このへんは漠然とした全体像は決まっているものの細部まで煮詰めていなかったから矛盾が生じているのか、それとも佐伯兄は一巻の敵役という話の都合のため行動原理が変になったのかな。

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)

僕は死んだ。何もいいことがない、17年の人生だった。……でもマキエルと名乗るいきものが言うには、もういちど10歳からやり直し“奇跡の欠片”をあつめれば次は死なずにすむらしい。北欧から転校してきた明るいソフィア、絵がうまいとも実、甘えさせてくれる隣のお姉さん弥宵――奇跡の欠片がなんなのかマキエルは教えてくれなかったけど、僕はまえはぜんぜんできなかった、身近な女の子たちとのふれあいをたいせつに生きよう、こんどは悔いを残さないために、と思った。だけど……。第3回ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。
 子どものころに戻って、ブロンド少女、眼鏡っ子、グラマラスお姉さんを同時攻略する話。死の運命を回避する方法を模索することなんてついでです、えらい人にはそれが(以下略)

 こういうとまるでエロゲー・ギャルゲーっぽい作風のように思えるけど、勇気を出して一歩を踏み出し人と関わることの大切さを描いていたり、主人公のそばには常に友達のようなマスコットキャラがいたりと、主な登場人物たちが小学生のせいもあってか(約一名もうちょっと上の年齢の登場人物もいるけど)、小学生ぐらいの子どもでも問題なく楽しんで読めそうな作風というか、児童書であってもおかしくなさそうな印象だった。

 主人公が高校生の年齢から小学生に戻ったにしては精神的にもろ過ぎる一面があってそのへんが最初はいまいちかと思えたが、読み進めていくうちにひとと関わるのが苦手な少年の成長ものとして描いているのだからむしろこれでいいのかと納得。

 主人公と関わることになる三人の女の子たちが魅力的なのは言うに及ばず、常に主人公のそばにいるマキエルも非常にいい登場人物で、マキエルとの友情ものとしてもよく出来ていたかと。

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

――なんて自由なんだろう。クレアの胸は喜びに満ちあふれていた。青空の下、ひとりで自転車をこぎ、カドケス高等学校飛空科の入学式へ向かう。たったそれだけのことがたまらなくうれしい。そして今日は「彼」に逢える……。空の果てを目指し旅立った空飛ぶ島イスラで、カルエルたちの新生活がはじまった。各国から選抜された個性的なクラスメイトたちと、彼らとの和気藹々な寮生活。そして飛空訓練。意を決し、クレアにペアを申し出たカルエルだったが――。希望と不安の狭間でゆれるふたつの鼓動。回り出す運命の歯車。待望の続刊!

でもせめて今は、たわいない希望を語ってみたい。

 とりあえずこの巻はキャッキャウフフの学園生活編。新キャラが多数登場し、それぞれ個性的でキャラが立っていて良かった。特に濃厚なダンディズムを香らせながらその実態は駄目人間なバンデラス先生がお気に入り(笑) しかし早くも不穏な気配が生じてきたなあ。今回のこの楽しい時間は、後で突き落とすための前フリでしかないように見えてしまって今後の展開が怖い。

(以下ネタバレ)

[とある飛空士への恋歌2]の続きを読む
アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)
虚淵 玄 (著), 中央東口 (イラスト)
小学館 2009-07-17

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高速レシプロ機エトピリカの操縦桿を握りながらカール・シュニッツは目を懲らした。大空の彼方に見えたのは、眩いほどに輝く一対の翼。鱗粉のように撒き散らされる光の礫。それは、未だ人類が到達できない領域の存在――虹龍の雄姿だった。「彼らが舞うあの世界は、痛みも悲しみもない場所に違いない」少年の頃からずっと……そしていまもなおカールはそう信じてやまない――。これはまだ、龍の翼に神秘があった頃の物語。遙かなる神々への領域を目指した、挑戦者たちの記録。ニトロプラスの名作『吸血殲鬼ヴェドゴニア』『沙耶の唄』で知られる伝説のタッグが復活。完全オリジナル新作始動!
 さすがというかなんというか、今回もすごく面白かった。ただ速さを以てのみ勝敗を決する龍との対決はこの上なく熱く、かつての友との関係、そして主人公の過去の喪失と再生がすっげえ渋い。大満足。

 しかしこの作品が今後どういう展開を迎えることになるのかと思うと怖いなあ。特に恋人役のヘレンがどうなるのかあたりが。はっきり言って死亡フラグが立っているような気がしてならない……。ヴァイニンガー博士や他のメンバーもヤバそう。かろうじて生き残りそうなのはまだ幼いため、エピローグあたりで成長してその後を語る役割になるのかと思えるエリックぐらいか。

 まあ何はともあれ続きがすごく楽しみ。

ケモノガリ (ガガガ文庫 ひ 1-3)ケモノガリ (ガガガ文庫 ひ 1-3)
東出 祐一郎 (著), 品川 宏樹(GAINAX) (イラスト)
小学館 2009-07-17

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平凡な顔、平凡な成績、何もかもが平凡な少年。だが誰にでも一つくらいは取り得がある。彼の場合はそれが「殺人」だった――。東欧小国で修学旅行中のバスが拉致された。犯行グループは財閥の好事家たちによる「狩猟クラブ」。GPSを埋め込まれ、廃墟の街を逃げまどう生徒たち。「人間狩り(ケモノガリ)」のゲームが始まる。しかしその時、誰も予期せぬ「トラブル」が起こった。「少年」=赤神楼樹の「才能」が、極限状況下で開花してしまったのだ。逆転するゲーム、狩られる「ケモノ」は、どっちだ――? 人気ゲームメーカーpropellerの東出祐一郎、激昂のオリジナル小説デビュー作!
 主人公は最初から覚醒しまくり、平穏な日常描写なんて回想でちょろっと語られる程度でほとんどなし、人を殺すことをためらったり恐れたりすることもなし、クラスメイトの男たちは本当にただの脇役扱い、とにかく殺して殺してころしてころしてコロシテ……といった感じの作品。

 まあまあ楽しめたことは楽しめたのだけど、話に深みがないというか、扱っている題材は残酷でグロい内容なのにあっさりしていていまいち心に残るものがなかったというか。まあ作者としてもべつに人を殺すことの是非だとか、才能と人の生き方だとかについて書きたかったわけではなくて、もっと単純でストレートな血なまぐさいアクションを書きたかっただけだろうし、たしかにそういう意味では楽しめたのだけど、贅沢を言えばやはりもう一歩深みがほしかったかなと。

あきそら 2 (チャンピオンREDコミックス)あきそら 2 (チャンピオンREDコミックス)
糸杉 柾宏
秋田書店 2009-07-17

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アキとソラ、越えてはいけない一線を越えてしまった姉弟は、さらに互いへの想いを深めていく。しかし一方、ソラの双子の妹・ナミもまた禁断の恋に身を焦がしていた……。さらに加速する許されぬ恋の行く末は!?
 第5話「おかえりなさい」~第9話「雨が止んだら」収録。あいかわらず一般作品とは信じられないかっとばした内容だった(笑) 一線越えるってレベルじゃねーだろ、これ。

(以下ネタバレ)

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神のみぞ知るセカイ 5 (少年サンデーコミックス)神のみぞ知るセカイ 5 (少年サンデーコミックス)
若木 民喜
小学館 2009-07-17

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「FLAG.37 2年B組長瀬先生」~「FLAG.46 Mr.ムーンライト」収録。教育実習生・長瀬純編から美意識過剰天文部員・九条月夜編まで。

 今回に限った話じゃないけど、攻略がお手軽過ぎてもの足りない。今回の2人も1イベントであっさり攻略完了だし。駆け魂回収のためギャルゲー攻略テクニックを活用して現実の女の子たちを落としまくるという話である以上、次々といろいろなタイプの女の子を出さなければならないので、どうしても1人あたりの話が軽くなってしまうというのはわからないでもないが、もう5巻になるわけだし、そろそろもっと長いエピソードをやってもいいと思うのだけどなあ。

 それとキャラの描き分けがいまいち。特に今回の長瀬は初の同年代の女子生徒以外の攻略相手ということで期待していたのだけど、今までとほとんど変わりない印象だったのは残念。教育実習生という設定も多少苦戦する原因にはなった程度であまり上手く活用できていなかった気が。

アスラクライン〈12〉世界崩壊カウントダウン (電撃文庫)アスラクライン〈12〉世界崩壊カウントダウン (電撃文庫)
三雲 岳斗
アスキーメディアワークス 2009-04-10

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 あの登場人物たちとの思いがけない出会い、意味ありげな奏やアニアの態度、次々と明かされていく世界の秘密と変化していく状況など、怒涛の勢いで新しい情報が出てきて処理が追いつかなくなりそうだった。

(以下ネタバレ)

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アスラクライン〈11〉めぐりあい異世界 (電撃文庫)アスラクライン〈11〉めぐりあい異世界 (電撃文庫)
三雲 岳斗
アスキーメディアワークス 2008-10-10

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 新展開開始。そろそろ恋の行方も決着?

(以下ネタバレ)

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山獄の獅子王―タザリア王国物語〈5〉 (電撃文庫)山獄の獅子王―タザリア王国物語〈5〉 (電撃文庫)
スズキ ヒサシ
アスキーメディアワークス 2008-12-05

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運命の再会、ジグリットと黒の騎士の新たな戦いが始まる!

 黒の騎士と運命の再会を果たすジグリット。それはタザリアの新たな始まりを意味していた。タザリアの再興を誓うものの、当面の間二人はリネアの追っ手から身を隠さなくてはならない。ジグリットの提案は山賊の仲間になるという驚くものだった。
 蒼蓮華──ナフタバンナ王国でも悪名高い山賊。その頭領はまだ二十歳にも満たない青年ザハといった。実は彼らが悪政を布く王国に逆らう義賊だと知ったジグリットは、ナフタバンナ転覆をザハに持ちかける。その戦いを自らの出発点とするために……。新章突入!
 新たな国で新展開開始。今回の展開で一番幸せになったのは間違いなくファン・ダルタ(笑)

(以下ネタバレ)

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きつねのはなし (新潮文庫 も 29-2)きつねのはなし (新潮文庫 も 29-2)
森見 登美彦
新潮社 2009-06-27


「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中で何かが身じろぎする気配がした。古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現れて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は? 底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
「きつねのはなし」「果実の中の龍」「魔」「水神」収録。

『宵山万華鏡』と同じ系統の作品で(というか、こちらの方が出たのは先だけど)この作品も好みに合わず微妙だった。ただ、『宵山万華鏡』と同じ系統といっても微妙に印象が違っていて、『宵山万華鏡』は摩訶不思議で幻惑的な作風であるのに対して、こちらはうす暗く不気味な作風といった感じ。収録されている中では「果実の中の龍」が一番お気に入り。

恋愛ラボ 3 (まんがタイムコミックス)恋愛ラボ 3 (まんがタイムコミックス)
宮原 るり
芳文社 2009-07-07

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恋するハートにご用心! 美人中学生の放課後はスキャンダル!!? 藤女生徒会に訪れた史上最大のピンチをどう切り抜ける? 恋に友情…乙女心が揺れまくるファン待望の第3巻がついにお目みえ!
 今回もカバー下におまけあり。今回は新聞同好会との一騒動編といった感じ。そしてサヨがよく目立っていたエピソードだった。

 一巻のラストでもそうだったけど、この作品はこういった騒動と、その解決の描き方が上手いなあ。新聞同好会の二人もレギュラー化するのかと思ったけど、この終わり方からすると今後はたまに出てくるぐらい?

 新聞同好会との一騒動も終わり、次はいよいよ前回ちょっと顔見せした男キャラとの関わりが話のメインになりそう。リコのモテモテという見栄にもツッコミが入り、この調子だとそろそろ終わりが近いような気も。次の4巻でリコが嘘をついていたことに決着をつけ、男の子たちと普通につきあうようになってそれで完結でもおかしくないし。

 まあ、あのマキが普通に男の子につきあえるようになるにはまだまだ先が長そうだから、やはりまだまだ終わりそうにないか(笑) それにどうせならつきあうようになってからも連載が続いてほしい。つきあい始めてからのいろいろな恋の悩みとかも見てみたいので。

ぷりんせす・そーど!3 戦うサツキと恋の道 (GA文庫 か 1-6)

 2巻まで読んで好みに合わないとわかったので切ろうと思っていたのだけど、表紙に釣られてしまいそうだ……