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アニスと不機嫌な魔法使い (HJ文庫 は 2-1-1)アニスと不機嫌な魔法使い (HJ文庫 は 2-1-1)
植田 亮
ホビージャパン 2008-07-01

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 主人公の少女・アニスは引き取り手が現れたことにより孤児院を出ることになったが、引き取り手として待っていたのは同年代の少年にしか見えない最強の魔導師シドだった。無愛想で何かと暴言を吐く彼との生活になじめずたびたび衝突するアニスだったが、実は彼女はある理由から恐ろしい魔法使いに狙われていて……というストーリー。なんだかコバルト文庫とかそっち方面から出ていそうな作風というのが第一印象。

 主人公のアニスがただのバカ娘に見えてしまってあまり好感が持てなかった。シドとの生活になじめず帰りたいとか言いだしたりするけど、孤児院の経営が苦しいのはわかっていたはずじゃなかったっけ? まして十歳にも満たない幼い子供だとかいうならいざ知らず、どちらにしても遠からず孤児院を出ることになったであろう年齢だというのに、ちょっと気に入らないことがあるとすぐへそを曲げて泣きごとを言いだすようではなあ……。まあ子どもなんてそんなものだとか、それだけそれまで貧しくとも恵まれた生活をしていたことの証といわれればその通りだし、どうしても気にいらないというほどではなかったけど。

 それと終盤の展開も、都合よく主人公のすごい力(世界最強レベル)が開花されて災難を逃れるわ、シドとの関係はぎくしゃくしていたはずだったのにアニスが急に前向きになってめでたしめでたしになるわ、強引な展開でいまいちだった。アニスが急にシドのことを受け入れるようになったのは、過去の出来事を知って印象が変わったのが大きいのだろうとはわかるけど、終盤に一気に態度が変化するから唐突な印象を受けてしまう。もっと物語全体を通してふたりの交流を描き、互いに影響を受け変わっていく姿を描くようにした方が良かったのではないかと。