小説☆☆☆

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デンデラ (新潮文庫)デンデラ (新潮文庫)
佐藤 友哉
新潮社 2011-04-26

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斎藤カユは見知らぬ場所で目醒めた。姥捨ての風習に従い、雪深い『お山』から極楽浄土へ旅立つつもりだったのだが。そこはデンデラ。『村』に棄てられた五十人以上の女により、三十年の歳月をかけて秘かに作りあげられた共同体だった。やがて老婆たちは、猛り狂った巨大な雌羆との対決を迫られる――。生と死が絡み合い、螺旋を描く。あなたが未だ見たことのないアナザーワールド。
 老婆たちが羆と戦う作品ということでてっきり大真面目に馬鹿な展開を描くシュールなアクションコメディ的作風なのかと思ったら、当たり前のように暮らしは貧しくて厳しいわ、人間関係はドロドロしてていがみ合い対立するわで想像していたのとはだいぶ違う作風だった。また主人公のカユが、文句をたれ、キレイごとを口にするわりには、代案を示さず周囲に流されるだけといった感じでいまいち好感が持ちづらかった。しかしそんなだからこそ、様々な考え方があって、生死の迫力があって、読みごたえがあった。最終的な満足度は並。自分の好みの作風ではないが力作ではあったと思うといったところ。

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)
牧野圭祐 かれい
小学館 2016-12-25

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 微妙。宇宙を目指す訓練生の青春ものとしては訓練の描写が淡々としているし、ボーイ・ミーツ・ガールものとしては特に大きな衝突もなく少しずつ距離を縮めていつの間にか互いが互いの大切な存在になっているという流れで、これはこれで悪くないもののいまいち盛り上がりに欠ける印象だった。あと吸血鬼というファンタジー要素がいまいちいかされていない気が。ヒロインが吸血鬼だからこそ作中のような状況が成り立つというのはわかるけど、ちょっと変わった体質の人間ぐらいの扱いでしかないのがもの足りなかった。

その女アレックス (文春文庫)その女アレックス (文春文庫)
ピエール ルメートル 橘 明美
文藝春秋 2014-09-02

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 微妙。そんなに評判になるほどたいそうな作品かな? というのが率直な印象。評判がいいので期待し過ぎたというよくあるパターンかね。できれば裏のあらすじすら読まず、表紙を見て、冒頭の数行を読んで気に入ったので読んでみたというのが一番幸せにこの作品を楽しめる形なのだろうな。翻訳は普段海外作家の作品を読まない自分でも読みやすく感じられて良かった。

ネット小説家になろうクロニクル 1 立志編 (星海社FICTIONS)ネット小説家になろうクロニクル 1 立志編 (星海社FICTIONS)
津田 彷徨 フライ
講談社 2016-09-16

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 試合中に大怪我を負い、失意の底にあったサッカー少年・黒木昴はネット小説投稿サイト〈Become the Novelist〉――通称〈ベコノバ〉と出会い、その世界にのめり込んでいく……。やがて数多の投稿作をむさぼり読んだ昴の目には、ふたたび火が灯っていた――僕は、僕の理想の小説を作り上げ、プロの小説家になる!!
 友人であり、編集者役を務める良き理解者・夏目優弥と、隠れて漫画家を目指す美少女・音原由那も仲間に加わり、未来への照準は定まった!
 創作を志す仲間とともに小説ランキングを駆け上がり、商業デビューを目指せ――!

 読めばネット小説の世界がわかる!
 小説が書きたくなる!!
 微妙。「~ね」「~さ」という語尾が多い登場人物たちの口調が気取ったものに感じられて好みに合わなかった。それとサッカー一筋でろくに小説を読んだことなかった主人公が小説を書こうと決意して書き始めたら、多少アドバイスをもらったにせよ、当たり前のように書くことができて完結までもっていけるというのはどうなんだという気が。もっと作品作りで四苦八苦してほしかった。まあこの作品は「ネット小説投稿サイト攻略」が主題であって「小説の書き方」は主題でないということなのだろうけど。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
住野 よる
双葉社 2017-04-27

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ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!
 漫画版は微妙な印象で原作はどうなのかと読んでみたけど、やはりあまりぴんとこなかった。何が問題なのかと考えてみると『主人公が特に何をするわけでもないのに魅力的な女の子から積極的に関わってきてくれる棚ボタ的恋愛描写か』と前半から中盤ぐらいまで醒めた視点で読み進めてしまったからかな。本来この前半の描写で主人公たちに引き込むべきところなのにそんなだから終盤の展開もあまり響かなかった。まあ最後まで読めばなぜ桜良が主人公に関心を持ったのか理屈の上では納得できるし、今の自分とは相性が合わない作品だったということなんだろう。こんなこともある。

4040686357今日から俺はロリのヒモ! (MF文庫J)
暁雪 へんりいだ
KADOKAWA/メディアファクトリー 2016-08-25

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なんとなく漫画家を目指している俺・天堂ハルはある日、人生これでもかってくらい勝ち組になった。なんてったって、投資で自ら稼ぐ超金持ちの美少女小学生・二条藤花が俺の漫画の大ファンで、しかもパトロンになってくれるって言うんだ! 藤花の家に住まわせてもらい、衣食住は半永久的に心配する必要がなくなった。それに作品作りの資料として、漫画もBDもフィギュアもコスプレ衣装もなんでも買い放題だし、ソシャゲも課金し放題! 資料を集めたからといって漫画が描けるとは限らないけど、これだけ理想的な環境を与えられたんだ、きっといつか良い漫画が描けるに違いない。…うん、たぶん描ける、と思うよ…? あまくて楽しい理想のヒモ生活がスタートだ!
 微妙。タイトルからこういう作風なのだとわかっていたつもりだったけどやはり一般的な道徳観からは逃れきれず、ロリの金でガチャを引いたりと自堕落な生活を送る主人公にドン引きしてしまった。百歩譲ってロリのヒモであるのはいいとしても(全然よくないけど)あれだけ尽くしてくれるファンのために漫画を描こうとしないのはどうなんだと好感が持てなかった。終盤の展開がなかったら最後まで読み心地は悪いままだっただろうな。続きはまた気が向けば。

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました (GAノベル)スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました (GAノベル)
森田 季節 紅緒
SBクリエイティブ 2017-01-13

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 とにかくひたすらイージーモードといった印象の作品。チートものが多いなろうでもここまでイージーモードなのはめずらしい気が。しかし半端にカッコつけてシリアスぶった展開をされるよりも、ここまで徹底してゆるい作風の方がかえって受け入れやすくて良かった。反面、あまりにゆるい展開なのでワクワクドキドキ感も薄く、物語にそれほど引き込まれなかった。あと後半になると結局高レベルをいいことにバトルしたりと、力を濫用するようになったのもマイナス印象。

この恋と、その未来。 ―二年目 春夏― (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 ―二年目 春夏― (ファミ通文庫)
森橋 ビンゴ Nardack
KADOKAWA/エンターブレイン 2015-10-30

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 あと二冊あるとは思えないほど大きく話が動いてびっくり。あと一冊で終わってもおかしくなさそうな流れに思えるのだけど、二年目の秋冬は何があるのだろう。

この恋と、その未来。 -一年目 冬- (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 -一年目 冬- (ファミ通文庫)
森橋 ビンゴ Nardack
KADOKAWA/エンターブレイン 2015-05-30

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 一年目の終わりということで、この作品は基本的にそれほど大きな事件は起こらないけど、それでも時の移り変わりを感じさせる巻だった。この流れを受けて二年目はどうなるか楽しみ。あとがきはこのシリーズがどうなったかわかっている今の時点で読むとなんだか複雑な気分になるな。もし三巻で完結させなければならかったらどういう展開になっていたのだろう。

この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)
森橋 ビンゴ Nardack
KADOKAWA/エンターブレイン 2014-11-29

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 一巻を読んだときに予感した通りやはり四郎の切ない気持ちとやらに共感できなくて微妙。それと四郎の家族との関係が笑えない。姉たちの四郎への仕打ちって軽い虐待レベルなのではという気が。家族なんだし身内以外にはわからない距離感というのもあるだろうけど、加害者側にどれだけ悪意が無かろうと被害者側はつらい思いをしていることにかわりはないわけで。あと読点がやたらと多い文章が少々苦手。最後に話が動いたけど四郎の恋がどうこうよりも未来と今回登場のあの人物の関係がどうなるか気になる。

勇者のクズ1 (カドカワBOOKS)勇者のクズ1 (カドカワBOOKS)
ロケット商会 草河 遊也
KADOKAWA 2016-12-24

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「勇者なんて、最低のクズがやる商売だ」
 改造手術を受けたヤクザが魔王となり、それを狩る職業が勇者として合法化した現代。金に困り勇者志願の女子高生3人の家庭教師となったチンピラ勇者ヤシロは、魔王の事務所へのカチコミ、勇者養成学校への不法侵入、死んだ勇者の遺品漁りなど落ちこぼれの少女たちを『指導』するうち、身体強化薬《E3》を巡る陰謀に巻き込まれ――!? 第1回カクヨムWeb小説コンテスト現代アクション部門大賞作!
 こんなタイトルだけど現代異能バトル師弟もの。異能もあるけどわりと接近戦も重要で、そのへんの駆け引きや剣を使った接近戦の描写は読みごたえがあって良かった。しかし中盤ぐらいになると少々だれた。また押しかけ弟子の三人娘に魅力が感じられなくてつらかった。途中からこれはこれでいいかもと印象が持ち直したけど、でもそうなると今度はよくある教え子の少女たちから好意を向けられる師匠役の主人公という図式になってしまってそれはそれでどうなんだという気も。

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)
宮澤 伊織 shirakaba
早川書房 2017-02-23

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仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で“あれ”を目にして死にかけていたときだった――その日を境にくたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など、実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を捜すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!
 元ネタのネット怪談を知っていれいばもうちょっと違った印象になったのかもしれないけど全然知らなかったので、わけのわからない状況でわけのわからんことになる物語という印象だった。本来そういう作風は苦手なんだけど、最後までそれなりについていけたのは主に主役二人のやりとりが楽しめたからかな。しかし主役二人の軽いやりとりとは裏腹に相当ヤバそうな状況で気軽に楽しみやすいとは言いがたい感じ。あとこういう怪談的作風で銃器で危機を乗り越えるというのはめずらしい気が。作者の趣味なんだろうか。