小説☆☆☆☆☆

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項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 1984-09-27

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 最終巻。もうちょっと先まで読みたかった気もするが『項羽と劉邦』という題を考えればここで終わるのがもっともか。この最終巻の中で何人かの登場人物のその後にも触れられているしな。項羽は終盤近くまで優勢でこれでなぜ負けることになったのか首をひねりたくなる。周囲の人材を(身内以外は)大切にしなかったとか、補給を重視しなかったとか、いろいろもっともらしい要素があるのもわかるけど、そのことを踏まえてもあとほんのちょっと天秤の傾きが違えば天下を治めたのは項羽だったろうに。もっとも項羽が天下をとってもその治世はあまり長続きしなかっただろうけど、それを言えば劉邦の漢だってこの直後にもいろいろごたごたがあるわけだしなあ。

兼業作家、八乙女累は充実している (メディアワークス文庫)兼業作家、八乙女累は充実している (メディアワークス文庫)
夏海 公司
KADOKAWA 2017-05-25

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 突然の婚約破棄に昇進取り消し。完璧な人生を送っていたはずの大手通信会社営業職、八乙女累は人生のどん底に沈んでいた。そんな彼女に、小説新人賞受賞の吉報が!
 夢の作家生活がスタート!? と思いきや、待ち受けていたのはイケメン鬼編集の手厳しいダメ出しに山積みの本業タスク、そして容赦なく迫り来る締切だった! 覆面ベストセラー作家、索太郎の助言ももらいながら、どうにかOLと作家業の両立を目指す累だったが!? 兼業作家の泣き笑いを描く業界お仕事小説!
 さすが『なれる!SE』の作者のあらたなお仕事小説、それも職業・作家ものだけあって面白かった。最近はこの手の作家ものはめずらしくないけど、この作品の最大の特徴は「兼業作家もの」であること。わかっていたつもりだけど兼業作家ってマジ大変そうだわ。そりゃ本業だけでもぶっ倒れそうなほど忙しいのにこんな作家としての作業のあれこれもやることになったら大変どころの騒ぎじゃないよな。世の中の兼業作家さんはよく時間を捻出できるもんだ。今回はデビュー作を出すのにこぎつけたところまでで本格的な兼業生活はまだこれからなので続編もあってほしい。

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)
平坂 読
小学館 2017-05-18

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 今回は伊月たちよりも表紙の人物たちのエピソードが印象的。よりにもよってアニメ化発表帯がついているこの巻でこういう内容とは……。アニメ化発表にあわせてこういう内容にしたのではなくシリーズ開始当初からこういう設定だったみたいだしなあ。ラブコメとしてはある意味いきつくとこまでいっちゃったわけだけど、今後どう話を展開していくのだろう。とりあえず大きな消化すべき点としては「千尋の正体バレ」「伊月の作品のアニメ化はどうなるか」かね。

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)
一 肇
KADOKAWA 2017-02-25

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2浪の果てに中堅お坊ちゃん私大に入学した、十倉和成20歳。ある日、彼のボロ下宿の天袋からセーラー服姿の少女が這いおりてきた。少女・さちは5年前から天井裏を住処にしてきたという。九州男児的使命感に燃えた十倉はさちを庇護すべく動きだした。そしていつしか、自らの停滞の原因――高校時代の親友であり、映画に憑かれて死んだ男・才条の死の謎に迫っていく。映画と、少女と、青春と。熱狂と暴想が止まらない新ミステリー。
 主人公の恋愛描写は蛇足だったかなと。恋愛要素を入れずに、かつての友人の足跡をたどり四苦八苦する映画の物語でまとめても良かった気が。まあそのへんは好みの問題だし、そういった自分の好みには合わなかった部分を差し引いても十分面白いと言える作品だった。ちょっと時代がかった言いまわしが古臭くも読み心地がいいし、かつての友人の足跡をめぐって苦悩する主人公の姿には引き込まれ、終盤の一線を突き抜けた怒涛の勢いがすごかった。ファンタジー要素の影響が大き過ぎるのでもうちょっと控えめの方が良かったけど、それも好みの問題か。

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.2 (電撃文庫)ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.2 (電撃文庫)
聴猫 芝居 Hisasi
アスキー・メディアワークス 2013-10-10

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 ネットゲーをやっているといかにもありそうなネタがいろいろ散りばめられていて面白かった。しかし最近のスマホガチャゲー隆盛の状況を考えると、MMORPGネタってのはすでに一昔前の話題に感じてしまうな。流行り廃りって怖い。最後もいい話風味に終わって読み心地が良かった。ゲームはしょせんゲームだけど人生を少し明るくしてくれるよね。あとがきでは二巻のネタが残っているか心配されていたなんて話があったけど、それが十巻をこえるシリーズになってまだ続いているのだからすごいな。ここからどう続いていくのだろう。

この恋と、その未来。 ―三年目 そして― (ファミ通文庫)この恋と、その未来。 ―三年目 そして― (ファミ通文庫)
森橋 ビンゴ Nardack
KADOKAWA 2016-11-30

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 四郎と未来の物語としてはやはり前巻である程度区切りがついていて、未来が姿を消しても時間は流れあれこれあって人生は続いていくのだ的な話、そして最後に未来との再会と、一巻まるまる使ってのエピローグみたいな内容だった。正直このシリーズは主人公の気持ちに共感しづらいし、好感が持てないところも多々あったのだけど、三年間の高校生活を経て各登場人物が将来へと向かって踏み出していく姿がきれいに描かれていて、ちょっと変わった青春ものとしては悪くない満足感があった。読んでみて良かった。

この素晴らしい世界に祝福を!11 大魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)この素晴らしい世界に祝福を!11 大魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)
暁 なつめ 三嶋 くろね
KADOKAWA 2017-05-01

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 前半は前回からの続きでアイリスのもとにいるところから始まるけど後半はアクセルの街に戻って冒険者ギルドを中心に活動し、なんだか原点回帰的な流れ。……と思ったらあとがきでもそう書かれていて狙ってこういう流れにしたのかと納得。こめっこさんの魔性の妹っぷりがすごくて、外伝として成長したこめっこの活躍を描いた話なども読んでみたくなるな。ところでちょろっとその存在に触れられた魔王の娘というのがどういうキャラなのか、わたし、気になります。

結物語 (講談社BOX)結物語 (講談社BOX)
西尾 維新 VOFAN
講談社 2017-01-12

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 阿良々木暦の二十三歳時代編。職場の先輩を一人ずつ紹介しつつ事件を解決したりしながら、今までの登場人物たちのその後を語るといった感じの内容。ちょっと読んだだけだと神原とか火憐とか月火とのぽんぽんとしたやりとりは変わりないように思えるけど、その後の各人物の近況がわかってくるとかつてはあんな状況をともに過ごした相手でもほとんど連絡をとり合わないほど疎遠になっているのが見えてきて寂しいというか、でも無理に過去に縛られずそれぞれがそれぞれの人生を歩んでいるのは幸せといっていいのかなという気も。そんなことを感じさせられる巻だった。これもいずれアニメ化するのかね。

王国へ続く道3 (HJ NOVELS)王国へ続く道3 (HJ NOVELS)
湯水 快 日陰影次
ホビージャパン 2016-09-23

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 軍に所属して成り上がっていくわけだが、貴族に成り上がったら成り上がったで、家を用意したり、使用人を入れたり、戦いとは別の手間がかかるのが描かれていたのが面白い。レオポルトも登場。主人公がマッチョで脳筋な分こうして他に頭脳面を担当するキャラが出てきたりと、何でもかんでも主人公ひとりが無双して解決じゃないのがいいね。アンドレイのあのエピソードはひょっとしたら書籍化の際に削られるかなと思ったけどちゃんと収録されていて良かった。

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14 (MFブックス)無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14 (MFブックス)
理不尽な孫の手 シロタカ
KADOKAWA 2017-04-25

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(以下ネタバレ)

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王国へ続く道2 (HJ NOVELS)王国へ続く道2 (HJ NOVELS)
湯水快 日陰影次
ホビージャパン 2015-12-22

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 シリーズ中トップクラスに重要ヒロインのセリアとノンナ登場。まあこの作品はヒロインの数がやたらと多いわりには無駄に使い捨てることなくどのヒロインもかなり後の方になっても出てくるのだけど、さすがに出番の頻度には差があるわけで、セリアとノンナはそういう意味でかなり出番多めの重要ヒロインなんだよな。聖剣デュアルクレイターというファンタジー的なアイテムも登場。しかしマジックソード無双にならずよく切れる剣程度の扱いで、馬上で振るうならやはり槍などの長さのある武器の方が便利というバランスが好き。クリストフやアンドレイも登場。こうして見るとなかなか長いつきあいになるんだな。

王国へ続く道1 (HJ NOVELS)王国へ続く道1 (HJ NOVELS)
湯水 快 日陰影次
ホビージャパン 2015-07-23

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凄惨な環境で生まれ育った男・エイギルには戦いの才能があった。剣闘奴隷として育った彼は、森の奥深くに住む吸血鬼の美姫・ルーシィと出会い、戦乱の時代を生き抜く術を教わる。ルーシィが提示した、エイギルの物になる条件とは、彼が自らの王国を手に入れること。男の成長と様々なドラマ、そして激動の時代。エイギルは時には戦い、時には気に入った女を口説きながら、戦乱の時代を成り上がっていく――。
 WEB版既読。なろう作品に限らず最近のライトノベルファンタジーでは魔法無双ものが多いけど、この作品は筋力と動体視力というシンプルな強さなのがいいわ。あとがきで重要なテーマとして語られているけど、それがまさしくぴったりとハマっている感じ。それでいて頭脳派なキャラやファンタジー要素の強いキャラも出てくるのがまたいいんだよな。18禁要素ありなのであまりメジャーになりきれないけど、ファンタジー戦記ものが好きな人にはぜひ読んでみてほしい作品。